[江戸前の海十六万坪(有明)を守る会]
情報、其之弐拾七  2000.12/6
[ 鳩山民主党党首、十六万坪現地視察会
(そして、海上デモ、報告会


 
民主党国会議員による現地視察会、鳩山党首きたる!
 

12/5、早朝6:30
現地十六万坪の視察会が開催され、それに呼応して、大規模な海上デモが実施されました。
鳩山由紀夫氏も、この埋立事業は、無意味な開発だと、大きなご支援を頂きました。
↑スライドショーになっています。読み込み時間をお待ち下さい。Photo by "とらじゃ”

当会主催、”公共事業チェックNGOの会”天野礼子さんのプロデュースにより、
民主党国会議員による現地十六万坪の現地視察会が開催されました。
鳩山由紀夫党首も率先してご参加。もはやこの問題が地域にとどまる範囲のことではない、と言う事実を。広く世に知らし示すことになりました。

 議員参加は、民主党国会議員、仙谷由人氏、前原誠司氏、佐藤謙一郎氏、
金田誠一氏、都議会民主党、林ともじ氏、馬場裕子氏、

 当会と、”NGOの会”からの最高の現地説明者としてお願いした布陣は、
天野礼子、鈴木康友(つり人社長)、五十嵐敬喜(法政大)、水口憲哉(水産大)、尾崎幸司(水中カメラマン)、向井貴彦(東大)、安田 進(晴海屋)他 、
〈敬称略〉。皆が各分野の完璧な専門家であり、船上は凝縮された勉強会の様相となりました。

 また、10月から小規模なデモを続けてきた船宿の方々も、この視察会に合わせ、30隻を繰り出して、海上デモを行い、その思いのたけを有明の空に轟かせて、工事中止を訴えました。

 マスコミ等、プレス取材は10社以上に達し、下船後には、記者会見が開かれ、
その席において、鳩山党首は、
工事は無意味であると思う。」と明言し、「石原知事に一度は見てもらいたい。知事はここを海とは思っていないのでは、ちゃんとした海ですね。」と、遠回しながら知事の姿勢を批判しました。
 また、東京湾全体の保全を考える時期に来ているとの見地から、この十六万坪の問題をきっかけにと、国会レベルでの『東京湾保全法』制定への運動を約束いたしました。

※ 今後、当サイトでの誇大報道を自粛する為にも、現地視察は現地に入れないカタチであった事を付け加えておきます。
一つには、デモの申請の条件では、工事中の現地には入船できない条件があります。現地に入るには視察船だけ別の許可申請が必要でした。その場合、反対運動の会の主催では許可は難しい現実があります。特に今回の場合、野党第1党党首と言えば要人ですから、下手な視察の申請をすれば、行政側がすべてイニシアティブを持つカタチが用意されるだけなのです。コチラ側からも平等に説明できる人材が参加できる条件での視察会はまず無理だとの判断です。それは交渉にあまりに時間がかかる事です。

 しかしながら、十六万坪の中に入れなかった事、三つの入口の水路から眺めただけの事、実に悔しい思いです。一度でも中に入り、あの水域を知ったなら、この問題は我が身のこととなる、と付け加えておきます。

 
2000.12/4 ”江戸前の海十六万坪を守る会”報告会
 
視察会の前日、夕方より、豊洲文化センターにて、報告会開催。翌朝の海上デモに備えて船宿関係の参加者は少ないながら、お互いの喚起を促す、充実した会となりました。運動の対外的部分と共に、内部の充実をとの、議論と合意が形成されるものとなりました。
以下、新聞報道より視察会関連記事の転載です。

12/6 東京新聞朝刊

  民主党・鳩山代表 都の埋め立てに反対表明 
     旧貯木場視察『東京湾保全法制定を』


「東京湾保全法を制定したい」-。「ハゼの楽園」とされる東京港の江東区・有明旧貯木場(通称・十六万坪、広さ約41ha)を5日、民主党の鳩山由紀夫代表らが船上から視察。都が進めている埋め立て事業に反対を表明し、東京湾全体の開発を規制・保護する新たな法整備が必要との考えを示した。
 鳩山代表と同党国会議員の視察は早朝、釣り船業者が事業の中止を求めてデモ行進する中で行われた。
 江戸前の海十六万坪を守る会」(安田進会長)やライターの天野礼子さんが案内し、首都のおひざ元に残された「自然の宝庫」の浅瀬を見て回った。
都はすでに9月、事業に着手しており、35haを埋め立てて住宅地などにする予定。鳩山代表は「周辺に未利用地が多い中、9.000戸の住宅用地を造る意味を理解できない。国も都も財政難の折、無駄な事業と分かれば撤退する勇気を持つことが必要。石原都知事は一度見に来てほしい」と感想を述べた。
 視察には問題が多い各地の公共事業をチェックしている「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」(座長・五十嵐敬喜法政大教授)も同行、水口憲哉東京水産大助教授は「マハゼや稚魚が繁殖し、都民が釣りを通して海に親しめる数少ない浅場。ここを守ることが東京湾生き残りのチャンスにつながる」と解説した。
 東京湾では各自治体が個別の港湾計画を作り、いまだに開発計画がめじろ押し。このため、自然保護団体から湾全体の開発を規制し、一体的な管理・保全を求める声が上がっている。五十嵐教授も東京湾を守る保全法を作らないと、開発で死んでしまう」と訴えた。
 こうした機運を背景に、鳩山代表は「国も湾全体をどうしていくかが見いだせないでいる。東京湾保全法の制定を目指したい」、と語り、今後国会レベルで取り組むことを約東した。
埋め立てに関しては8月、地元江東区を含む無所属、自由、自民、共産の党派を超えた東京の国会議員4人が十六万坪を視察するなど、事業の全面的な見直しや保全を求めている。


   
12/5 朝日新聞夕刊

       都の臨海埋め立て   鳩山代表「工事は無意味」

 民主党の鳩山由紀夫代表は5日午前、東京都が臨海副都心開発の一環として進めている江東区有明北地区の埋め立て工事現場を視察した。視察後の記者会見で鳩山代表は「工事に意味があるとは思えない」と事業の継続に疑問を挟み、石原慎太郎都知事に対し一度でいいから「この海を見ていただきたい」と注文をつけた。
 視察には地元の釣り船業者も同行し、事業の中止を求めてデモをした。海上から約二時間にわたって現場を見た鳩山代表は、「人間にとっても魚にとっても最後の楽園になっている。どう考えても(周
辺には)未利用地がたくさんあり、新たな埋め立てという発想に意味があるとは思えない。財政危機の中、無駄な事業には国も都も「1円たりとも使うべきではない」と語った。
 そのうえで「石原知事は海を愛される方と聞いているが、.(工事現場は)海と見えているのか心配だ」と皮肉も込めた。
 都は約35haの海面を埋め立て、住宅や商業施設などをつくる計画を立てている。石原知事が今年8月、埋め立て免許を出し、事業をスタートさせたが、地元の釣り船業者らは「ハゼの宝庫が壇される」などと反対連動を続けている。

   12/6 夕刊フジ 友愛鳩山由紀夫の永田町オフレコメール
[貴重な海をつぶすな](鳩山由紀夫さんご本人のコーナーです。)

      石原知事の判断ミスでエドハゼが消える!?
        東京湾有明住宅化計画は無駄だ。
 第二次森改造内閣が五日に発足しましたが、この中に印象に残るような閣僚がいましたでしょうか?国民のみなさんは、田中真紀子氏の起用を期待されたかもしれませんが、自民党主流派の橋本派と江藤・亀井派の派閥抗争に巻き込まれて、弾き飛ばされてしまったようです。
 考えてみれば、自民党は内閣不信任案を否決しておきながら、実権を握る野中広務氏が「首相を信任したわけではない」と公言していました。そんな首相の下で世紀末改造が行われたとしても、とても国民のための仕事をする布陣ができたとは思えません。相変わらず、派閥内の権力闘争が熾烈(しれつ)を極める一方、加藤政局での論功行賞がまかり通っています。すでに「三月までの短命内圏という寂しい話もささやかれる始末です。
 みんなが辞退する中で、橋本龍太郎元首相は森首相に泣き付かれて入閣されたようですが、橋本首相時代の行革の失敗をまず反省されるべきでしょう。

 そんな醜い権力闘争が展開されている永田町を離れて、私たち民主党有志は同日朝、東京湾有明貯木場跡(十六万坪)、埋め立て地を視察をしてきました。
石原慎太郎知事が今年秋、9.000戸の住宅を建設するために埋め立てを強行決断した場所であり、東京湾で暮らす魚の稚魚たちが生育する大切な水域です。絶滅が危慎される「エドハゼ」も今回の調査で生意が確認されています。
 この事業はバブル期の10数年前に計画されました。「埋め立てて住宅にすれば値上がりしてもうかる」という皮算用だったようですが、状況は当時と一変しました。臨海副都心開発の巨額の赤字をさらに膨らませるもので、法政大学の五十嵐敬喜教授も「永久に採算の合わない仕事」と喝破しています。周囲には多くの空き地があるのですから、そこに住宅を建てればいい話なのです。

 地元の船宿や釣り船業者の方々も「自分たちの仕事が問題ではない。この貴重な自然を守ってほしい」と訴え、私たちと一緒に30隻の船で大漁旗を掲げてデモンストレーションを行いました。どうして貴重な海をつぶさなければならないのでしょう。まったく無駄な公共事業といえます。
 石原知事は「海の男」を自負されていますが、素晴らしい海は知事がヨットを楽しむ神奈川県の葉山だけではなく、自分がリーダーを務める東京都にも残っています。埋め立てについて「進むも地獄、退くも地獄」とおっしゃっているそうですが、一度、現地を視察されて、その自然に触れてから、埋め立てが本当に必要かについて考え直してほしいと思います。(民主党代表)


2000.12.7 校了