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情報、其之拾壱 2000.7/27 [三番瀬より、見直し案の問題点 ] ハゼサミット報告 NO.6 |
以上の点から、見直し案も含め、埋立計画は白紙撤回すべきである。 三番瀬を守る会 代表 田久保晴孝
2.港湾埠頭は巨額の税金無無駄遣い
船橋側の埋め立て予定地11ヘクタールは、冬季はスズガモ、ヒドリガモ、オナガガモなどのカモ類が常時500
羽以上生生息している(休息および採餌)。希少種のカンムリカイツブリ、ハジ口カイツブリもわりと多い。
1992年〜97年までは、天然記念物のコクガンが毎年飛来していたところ(採餌、休息)でもある。
船橋側の三番瀬は、魚類、貝類(ムラサキイガイ、マガキ)、カニ類などが多量に生息している場所となってい
る。埋め立て予定面積は少ないが、三番瀬の生き物に与える影響は大きいと思われる。
なお、船橋側の埋め立て予定地11ヘクタールには3万トン級のバース(岸壁)の整備を計画しているが、大型船
が入る保証はなく、巨額な税金の無駄遣いとなると予想される。
3.市川市側の埋め立ては、稚魚の成育、水質浄化などに重大な影響
見直し案見は市川側の90ヘクタールを埋め立てることになっているが、ここの理め立ては次の問題がある。
(1)市川側90ヘクタール(猫実川河口を中心)の埋め立て予定地には、カンムリカイツブリ、ハジ口カイツブリ、
ウミアイサ、ホオジロガモ等の魚類を食べる水鳥が他の地域に比べて多い。したがって、補足調査でも十分に
調べていないという魚類が多数生息していると思われる。
また、補足調査報告では、この地域について、各種魚類の稚魚の重要な成育場所と位置づけている。
さらに、ホトトギスガイ、ムラサキイガイ、マガキなどの二枚貝が多く、スズガモの重要な餌場ともなっている。
(2) 補足調査報告では、猫実川河口は水質浄化において重要な役割をになっていると書かれている。CODの除去
(二次処理)では、他の地域よりもすぐれている。高次処理(窒素の除去)についても脱窒の前段階の役割をはたして
おり、水質浄化の重要な場所になっている。
以上から、市川側90ヘクタール埋め立ては、水鳥、魚類、アサリ等の貝類などに大きなダメージを与える。
また、三番瀬や東京湾の水質浄化に与える影響も大きい。
4.埋め立ての緊急性や必要性はない
市川市及び船橋市側の101ヘクタールの埋め立ては、両市の人口動向(人口は最近増えていない)や、外環道路
の建設の動き、流域下水道の見直しが国や県ではじまっていることなどをみても、緊急性や必要性がまったくな
い。
はじめに埋め立てありきではなく、個々の事業の充分な検討をおこなって(市民を含め)から埋め立て計画を進
めるべきである。
谷津干潟の場合は、30年前、「臭いから理め立てろ!理めて都市再整備に使え!」と言い、習志野市議会、千葉
県議会は千葉の干潟を守る会などの保全請願を小差で否決した。しかし現在、谷津干潟は残り、習志野市や千葉
県、国の宝となっている。同じように、三番瀬が保全されれば、市川市や船橋市、千葉県、国の宝となるであろう。
市川側を市民が親しめるようにすることは、埋め立てと切り離して行うべきである。
5.次世代に巨額の借金を増やす
当初の理め立て計画(740ヘクタール)では、埋め立て造成だけで7800億円かかるといわれていた(県の非公式
発表)。したがって、単純に7で割っても1100億円の造成費がかかる。
このほか、流域下水道終末処理場の建設で1000億円、船橋港の整備で100億円、千葉市から旧江戸川までの
第二湾岸道路建設に一兆円はかかると思われる。
国と地方自治体あわせて600兆円もの借金をかかえている今、ムダな公共事業を新たに計画して借金を増やす
べきでない。
千葉県は予算規模を上回る1兆8000億円もの借金をかかえ、船橋市や市川市も同じように巨額の借金をかかえ
ている。次世代に借金を増やす埋め立ては白紙にもどし、豊かな自然を残すことが最も大切なことであろう。
6.第二湾岸道路も不要
7.人口干潟の成功例はない
(1) 第二東京湾岸道路は、予定ルート図によれば、
船橋海浜公園前や行徳保護区前を通ることになる。
巨大(高度も高い)な道路は、三番瀬から谷津干潟や
行徳鳥獣保護区へ移動するシギ・チドリ類、
カワウ、カモメ、カモ類など多数の野鳥の障害と
なる。
(2) 景観が悪くなる。(船橋海浜公園の真上に道路が
つくられる)
(3) 湾岸地区は、現状でも自動車による大気汚染が
ひどい。自動車が増えれば、騒音と排気ガスによ
る環境悪化がいっそう深刻になることが予想され
る。
(4) 建設費が一兆円を超すような道路がなぜ必要なの
か。(地下化にすれば建設費はもっとかかる)
以上の点で、第二湾岸道路は必要ないと考える。
県は、市川側の埋め立て地の先に60〜70ヘクタールの人工干潟(海浜)を計画している。
この人工干潟造成予定地は、生物が多いところである。人工干潟は成功例がないし、生物量も少ない。
維持費も莫大である。例えば、千葉市の幕張の浜では、維持費に年間2000万円以上もかかっている。
この点では、藤前干潟も三番瀬もまったく同じである。
8.ラムサール条約締約国会議の「湿地保全決議」を守るべき
今年、コス夕リカで開かれた第七回ラムサール条約締約国会議で「潮間帯湿地の保全と賢明な利用の促進に
関する決議」が採択された。
条約加盟国である日本は、干潟を保全する義務がある。同時に、千葉県も船橋市も市川市も、干潟を守らなけ
ればならないのではないか。三番瀬は十分にラムサール条約の基準を満たしている。
そして三番瀬をラムサール条約登録地に指定すべきである。ガン、カモの渡り鳥の登録地にすべきである。
( 1999年9月 )
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