標高1620mのツェルマットの町は、空気を汚染しないように、内燃車を締め 出していることで有名です。町の中の主な交通手段は電気自動車です。タクシ ー、各ホテルの自家用車、そして町のなかをまわるシャトルバスもすべてバッ テリーで動きます。電気自動車が普及する前は馬車が主だったそうですが、今 では高級ホテルの送迎用に2台しか残っていないということです。
では、スキーヤーやハイカーはどうやってこの町に来るのかというと、まず は、ツェルマット鉄道で来る、という方法があります。私たちもそうしました。
自家用車の人はどうするのでしょうか? じつは、「パーク&ライド」とい うシステムがあります。鉄道のツェルマット駅の一つ前のタッシュという駅に 大規模駐車場があり、ここに車を止めて(park)、電車に乗って(ride)ツェルマ ットへ入るのです。
今回私たちが訪れた際には、ツェルマット鉄道が、さらに標高が低く、スイ ス国鉄との接続駅でもあるヴィスプでのパーク&ライドを宣伝していました。 それだけリゾートにおける環境の保持に力を入れているわけです。
…とこんなことを書くと、そもそもスキー場という存在が環境を破壊している
のではないか?、という意見もでるでしょう。しかし、森を切り開かずに、
氷河や岩場の上の雪を圧雪するだけでコースができ、しかも、山全体からみれ
ばコースでないところが圧倒的に多いのです。私は、ゲレンデスキーはアルプ
スという地域にあったスポーツだと思っています。
(つづく)