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OZ's 電脳書評(2002-その3)

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IT汚染

吉田 文和 著/岩波新書/2001

 半導体に代表されるIT機器生産にともなう土壌・地下水汚染問題と、使用済 パソコンによる廃棄物問題の2つのテーマを取り上げている。


 前者については、以前より、有機溶剤による汚染が問題にされており、著者も 「ハイテク汚染」(岩波新書/1989)を著している。

 本書では、その後、アジア各地(台湾・韓国・マレーシア・タイ)および日本に 広がりつつある汚染をレポートしているが、汚染の実態を明らかにするだけでなく、 それに対して行政(国/自治体)や企業がどのように取り組んでいるか? についても 詳しく触れている。


 後者は、パソコンの爆発的普及と頻繁なモデルチェンジによって近年生じて きた問題だ。こちらは新しいテーマであるだけに、前者と比較して、割いている ページ数が少ない。

 しかし、今後、深刻さが増してくるのはこちらだろう。今でも、CPUのクロック アップは果てしなく続き、それに対応して、より「重い」ソフトウェアが開発される。 古いモデルのパソコンでは、そのソフトウェアを使うことができず、買い替えを 強いられることになる。これに対して、著者は、"レンタル制度"などの対策を提起 しているが、まだアイデアの段階であり、今後、更に議論が深まることを期待したい。


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