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OZ's 電脳書評(2002-その1)

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コンピュータが子供たちをダメにする

クリフォード・ストール 著/倉骨 彰 訳/草思社/2001

 コンピュータ・インターネットを教育の現場に持ち込む必要はない…本書の主張 をひとことで要約するとそうなる。


 私もそう思う。基礎的な読み書きの能力・計算の能力、あるいは、自ら考える 力や批判精神などは、学校にパソコンを導入し、インターネットに接続したから といって、身につくものではない、と考える。


 ただ、気になる点がある。それは、著者が既存の学校や家族のあり方に対して、 まったく疑問を呈していないことだ。著者は、コンピュータ・インターネットに よって学校や家族が形骸化していくことに対して、一途に批判的である。


 しかし、コンピュータやインターネットの導入される前の学校や家族には、 まったく問題がなかったのだろうか? 「ソーシャルスキル(訳出のまま)の低下」 は、コンピュータがもたらしたのだろうか? 私は、すべての原因をコンピュータ に帰することはできないと思うし、現在起きている変化がすべて悪い方向か、と いうとそうではないと考える。


 いっぽう、学校へのインターネット導入に積極的な人々は、インターネットに よって、「閉鎖的」である今までの学校を「開かれた」場にしていくことができる、 と主張している。私の知っている範囲では、このような主張は、日本の論者のもの しか知らないが、これまでの学校のあり方そのものに疑問を持っているわけだ。


 私としては、このような(コンピュータを導入することそのものが目的ではない) 「積極派」に対する、著者の意見・反論を聞きたい。


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