<須賀川>
(すかがわ)福島県須賀川市

旅行日 '97/12他

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 白河の関を越えて二日後、四月二十二日(陽暦6月9日)芭蕉は須賀川(すかがわ)に到着します。当時の須賀川は奥州街道の宿場街であり商業の中心地。宿屋や商家が軒を連ねるなか、町人文化も栄える町でした。
 ここで芭蕉がご厄介になったのが須賀川宿の駅長、等躬(とうきゅう)。当地俳壇の中心人物で、芭蕉とは古くからの知り合いでした。彼は現在NTT支店の建つあたり(右写真)に広大な屋敷を構えていたと言われています。
 風流を解する者のもと、よほど居心地が良かったのでしょうか。まだまだこの先長いというのに、芭蕉は須賀川に7泊もしています。



 此の宿の傍らに、大きなる栗の木陰をたのみて、世をいとふ僧あり。

 須賀川滞在中、等躬邸の裏に住む「世をいとふ」僧、可伸(かしん)の宅を訪れます。町の片隅でひっそりと暮らすこの僧に芭蕉は心惹かれるのでありました。
 現在は、上記NTT支店の裏手が可伸庵(かしんあん)跡とされ、狭い空間ながら記念碑、句碑、文学碑などが立ち並んでいます。しっかり栗の木も植えられていますね。



 市役所駐車場の一角。一見したところふつうの民家ですが、実はここが芭蕉記念館
 一階が芭蕉関係の資料展示室になっています。

芭蕉記念館('95年11月現在)
 開館時間 朝9時から夕5時
 入館無料(だったと思う)
 須賀川駅から徒歩20分
  またはバスにて中町、八幡町下車



 寒風吹きすさぶ師走のある日、まる一日テクテクと歩きまわって身体はすっかり冷えてしまった・・・。そうだ、お風呂に入ろう!(我ながらヘンな旅していると思う)
 旅行客が訪れるような所じゃないのですけれど・・。
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須賀川市民温泉('97年12月現在)
 営業時間 朝9時から夜8時
 木曜日及び年末休館  入浴料250円
 須賀川市役所から徒歩15分
 須賀川駅から徒歩20分


続いて、芭蕉の句(↓)へ。



<芭蕉の句>
 ここ須賀川にて、白河の関を越えた時の感懐を句に詠みます。

 風流の 初やおくの 田植うた
(ふうりゅうの はじめやおくの たうえうた)

<句意>
(この関を越えて聞こえてきた)みちのくの田植え歌、(それが奥州路に入っての)風流の最初のものである。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より

 右写真は可伸庵跡から徒歩5分ほどの十念寺境内に建つ句碑。


ここではもう一句紹介します。



 世の人の 見付ぬ花や 軒の栗

(よのひとの みつけぬはなや のきのくり)

<句意>
世の人の目には留まらない栗の花、その栗の花を愛し、軒端(のきば)に咲かせているこの庵の主人は、世に隠れ住んで、世の人の目には留まらない、いかにもゆかしい人であるよ。
NHK文化セミナー『おくのほそ道・永遠の文学空間』(堀切実著)より

 右写真は可伸庵跡に建つ句碑。





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