<山寺・立石寺>
(やまでら・りっしゃくじ)山形県山形市

旅行日 '87/8 95/10 97/8

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 芭蕉が山寺を訪れたのは五月二十七日(陽暦7月13日)。当初は予定になかったのですが、尾花沢滞在中に強い薦めを受け、ゆくことになりました。
 この日尾花沢を発ったのは午前6時半ごろ。七里の道を歩き、午後3時ごろ立石寺に到着。その日のうちに山上の奥の院までの参拝をすませています。
(←現在の奥の院)


 岩に巌(いわお)を重ねて山とし、松柏(しょうはく)年ふり、土石老いて、苔なめらかに、岩上の院々扉を閉じて、物の音きこえず。

<現代語訳>岩の上にさらに岩が重なって山をなしており、生い茂る松や檜(ひのき)も年経た老木で、土や石も古びて苔がなめらかに覆っており、岩の上に建てられた、たくさんのお堂は、いずれも扉を閉じていて、物音ひとつ聞こえない。


岸をめぐり、岩を這(は)いて、仏閣を拝し、佳景(かけい)寂莫(じゃくまく)として、こころすみ行くのみ覚ゆ。

<現代語訳>崖のふちをめぐり、岩の上を這うようにして、仏殿を参拝したが、そのすばらしい風景はひっそりと静まり返っていて、心が澄みきってゆくのを感ずるばかりである。


以上現代語訳は「NHK文化セミナー/江戸文芸をよむ・奥の細道 永遠の文学空間」堀切実著より

続けて、芭蕉の句(↓)へ。



<芭蕉の句>

 「奥の細道」も「芭蕉」も知らないが、この句だけは良く知っている・・、という方も多いでしょう。

 閑さや 岩にしみ入 蝉の声

(しずかさや いわにしみいる せみのこえ)


<句意>
なんと静かなことであるよ。(この静寂のなかで)で蝉の鳴き声だけが岩のなかにしみ入っていくように感じられる。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より



 右写真は立石寺境内の芭蕉像と句碑。十年も前の晩夏、私がはじめて立石寺を訪ねたときに撮したもの。早朝で参拝客(観光客?)もほとんどおらず「閑か」だった。いたく感動したものです。

 この句の「蝉」はニイニイゼミであるというのが定説だそうです。「陽暦7月13日にセミが鳴いているか?」と疑問も残りますが。


山寺の「蝉の声」を聴こう!
 森さんのホームページ にて、山寺で収録した「蝉の声」を聴けます。レッツゴー!



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