<尾花沢>
(おばなざわ)山形県尾花沢市

旅行日 '95/10

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 山刀伐(なたぎり)峠を越えると尾花沢(おばなざわ)の市域に入ります。
 現在は人口二万余の小さな地方都市ですが、かつては羽州街道の宿場町であり、延沢銀山の銀や紅花(べにばな)の集出荷地として栄えました。


 さて、我らが芭蕉は紅花問屋の主人でお金持ちの清風(せいふう)のもとを訪ねます。彼は若い頃から俳諧をたしなみ、芭蕉とは旧知の間柄でした。

 かれは、富めるものなれども、心ざし、いやしからず。
 都にも折々かよひて、旅の情をも知りたれば、日比(ひごろ)とゞめて、長途のいたはり、さまざまともてなしはべる。

<現代語訳>彼は富裕な者ではあるけれども、心持ちは卑しくない。
 京都や江戸にも時々通っていて、それだけに旅の苦楽も知っているので、(私たちを)何日も引き留めて、長旅の疲れをいろいろと手厚くもてなしてくれる。


 芭蕉は五月十七日(陽暦7月3日)から二十七日まで、尾花沢に滞在しています。紅花の花摘みや養蚕の仕事で繁忙する清風宅は避け、もっぱら近くの養泉寺に身を置いていたようです。
 この十日間は句会に参席したり、風呂に浸かったりしながら、ゆっくりと身と心を休めるのでした。

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芭蕉・清風歴史資料館('95/10現在)

 資料館の建物は、江戸末期から明治期にかけての町屋店舗を移転復元したもの。
 芭蕉、清風に関する資料ほか、古民具等が展示されています

 開館時間:午前10時から午後4時30分
 休館日:月曜日、祝日の翌日(ただし
      日曜に当たるときは金曜日)
     年末年始、展示替えのとき
 交通:JR大石田駅よりバス、尾花沢下車徒歩10分

続いて、芭蕉の句(↓)へ。



<芭蕉の句>

 涼しさを 我宿にして ねまる也

(すずしさを わがやどにして ねまるなり)


<句意>
涼しさを我が家にいるような気分で(くつろぎながら)座っていることであるよ。
 右写真は養泉寺境内の句碑。

「ねまる」とは「寝る」の意ではなく、この地方の方言で「くつろいで座る」ことだそう。芭蕉がいっぱいでの能書きは誤りでした・・・。
赤っ恥 (^^;;;


ここではもう一句紹介します。




 「山形」というと何かにつけ「紅花」。「それしかないのかよ〜」と言いたくなる・・。

 まゆはきを 俤にして 紅粉の花
(まゆはきを おもかげにして べにのはな)


<句意>
紅粉の花は、(女性が化粧をするときに使う)眉掃きの形を思わせる咲き方をしていることだ。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より

 



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