<金沢>
(かなざわ)石川県金沢市

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 七月十五日(陽暦8月29日)倶利伽羅峠をやっとこさ越え、未ノ中刻(午後2時過ぎ)に金沢に到着。さすがは加賀百万石の城下町。種々文化が栄える町であり、芭蕉は当地俳人のもてなしを受けながら、ここに9泊もすることになります。
 さて、金沢では一笑(いっしょう)という者に会おうとします。一笑は葉茶屋(はぢゃや)を営む商人。俳人としても優れた資質を持ち、芭蕉は彼との出会いを心待ちにしていたのですが・・・。

 左写真は現在の金沢の目抜き通り、片町交差点に建つ「芭蕉の辻」碑。



 一笑(いっしょう)と云ふものは此の道にすける名のほのほの聞こへて世に知人も侍りしに、去年(こぞ)の冬早世したりとて・・(以下略)

<現代語訳>一笑という者は、この道(俳諧の道)に熱心であるという評判がいつとはなく聞こえてきて、世間に(俳諧を通じての)知り合いもあるのに、昨年の冬に若死にしたということで・・

 一笑は前年の十二月六日、三十六という若さで早世していたのでした。彼の死を聞いて芭蕉は深く嘆き悲しみます・・・。
 右写真は観光客でごった返す妙立寺(みょうりゅうじ:別名「忍者寺」)の近く、願念寺の境内に建つ一笑塚

続いて、芭蕉の句(↓)へ。



<芭蕉の句>

 (一笑は)去年の冬早世したりとて、その兄、追善(の句会)を催すに

 塚もうごけ 我泣声は 秋の風

(つかもうごけ われなくこえは あきのかぜ)


<句意>
(あなたの死を悲しむ慟哭<どうこく>が地中の霊に届き)塚も動けよ。私の泣く声は秋の風(となってあなたの塚の上を吹きめぐって行くこと)である。

 右写真の句碑は、上述「願念寺」の門前に建ちます。



ここではもう一句紹介します。





 秋涼し 手ごとにむけや 瓜茄子
(あきすずし てごとにむけや うりなすび)


<句意> 初秋の涼しさを覚えることだ。瓜や茄子は各自で皮をむこう(そしてごちそうになろうよ)

 この句の碑がなかったので、近くのJAの直売所で買ったウリとナスの塩漬けの写真でごまかさせて頂きます。しかしウリとかナスとかはふつう皮を剥いて食べるものではないよなぁ・・・(焼きナスの時くらいか)。まさかナマで食したりはしないだろうし。昔と今とで食べ方に違いはあるのでしょうか? 野菜について詳しい方、ご教示願います。


ここではもう一句紹介します。





 あか/\と 日は難面も 秋の風
(あかあかと ひはつれなくも あきのかぜ)


<句意>
(もう季節は秋になったというのに残暑は厳しく)太陽は明るく容赦なく照りつけているが、(さすがに吹いてくる風には秋らしい気配が感じられる)秋の風である。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より

 右写真は成学寺境内に建つ「あかあかと〜」句碑。




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