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      メッセージ


〈8〉祈りがかなえられた後

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「多く与えられた者からは多く求められ、多く任された者からは更に多く要求されるのである」(ルカ12:48)。

 ★ユダ王朝のヒゼキヤ王の生涯から私たちキリスト者にとって重要な真理を学び取ることができます。一つは「謙遜は栄誉に先立つ」と同時に「高ぶりは滅びに先立つ」こと。もう一つは「祈りがかなえられた後、その与えられた恵みに答えて主のためにより多くの実を結ぶ責任がある」ということです。
 ★このヒゼキヤ王はヨシヤ王と並んでユダ王朝の最良の王たちの一人です。彼は父王アハズの残した邪悪な偶像礼拝の遺物を一掃して、民を主に対する正しい礼拝に復帰させ、「ヒゼキヤはイスラエルの神、主に信頼した。そのために彼の後にも先にも、ユダのすべての王のうちに彼に及ぶ者はなかった」
(王下18:5)と記されるほどの人物でした。
 ★神の祝福によって順風満帆の日々を過ごしていたヒゼキヤ王に試練がやってきました。アッシリア帝国の王がユダ王国内の町々を攻め取り、首都エルサレムに迫って来たのです。彼はアッシリア王から届けられた挑戦状を主の御前に広げて祈りました。「主よ。あなただけが神です。生ける神をそしるアッシリアの王の言葉を聞いてください。どうか、私たちをお救いください。地のすべての王国があなただけが神であることを知るために。」預言者イザヤを通して主の言葉が告げられました。「私のしもべダビデのために、私はこの町エルサレムを守って救う。」
 ★その夜、エルサレムを包囲していたアッシリアの陣営に主の使いが現れ、一夜の内に18万5千のアッシリアの軍勢を打ち滅ぼしました。更にアッシリア王セナケリブは自分の息子らに剣で打ち殺されました。
 ★この時以来、ヒゼキヤ王はすべての国々から尊敬の目で見られるようになり、多くの人々が贈り物を携えてエルサレムに来るようになりました。この順境の日々を楽しむヒゼキヤ王に新たな試練の時がやって来ました。彼は重い病気にかかったのです。預言者イザヤによって主の言葉が告げられました。「あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。直らない。」ヒゼキヤ王は大声で泣きながら祈って言いました。「主よ。私が真実と真心をもってあなたの前に歩み、あなたの目にかなうことを行ったのを思い出してください。」主は彼のこの祈りに答え、「わたしはあなたを癒す。そして、あなたの寿命を15年増す。」と約束されました。主はヒゼキヤの全快のしるしとして日時計の陰を10度バックさせる奇跡を起こされました
(王下20:1〜11)
 ★ヒゼキヤ王の病気全快のニュースを聞いたバビロンの王が全快祝いのため使者を送ってきた時
(イザヤ39:1)、主はヒゼキヤの心を試すために、彼のなすがままに任されました(歴代志下32:31)。ヒゼキヤは病気全快と15年延命の主の約束に有頂天になっていた上、大国バビロンと軍事同盟を結びたいという下心から、バビロンの使者に王宮の宝物蔵や武器蔵にある一切のものを見せてしまいました。
 ★このことは、ヒゼキヤが神のテストに不合格となったことを意味しました。ヒゼキヤは神に寄り頼まず、自分の財力と大国バビロンに寄り頼んでいたことが明らかになったからです。このことによって神の怒りが下りましたが、彼が再び国民と共にへりくだったため、主の怒りは彼の時代には下らず、彼の息子たちの時代に下ることが預言者イザヤを通して預言されました。
 ★その預言を聞いて彼は、「その預言(主の言葉)はありがたい。自分の生きている間は平和で安全だから」と考えました
(列王紀下20:19)。どこかの国の政治家のような、彼のこの能天気な考え方が間違いであったことが彼の息子・ユダの最悪王マナセによって立証されました。息子のマナセは父ヒゼキヤ王の死後、直ちに王位を継承して12歳でユダの王となりました(王下21:1)。ということは、マナセは父王の病気回復後15年の延命が許されて2〜3年後に生まれたことになります。すなわち、ヒゼキヤが最初のイザヤの預言の通り病死していればこの極悪王は生まれてなかったのです。あるいは、ヒゼキヤが「自分が生きている間だけ平和で安全ならいい」という身勝手な考えを持たず息子の時代も平和で安全であるように、息子に善良な王となるための万全な教育を施し、かつ息子のために祈っていたなら、このような最悪と悲惨な時代は避けられたかもしれません。
 ★善良な父王ヒゼキヤの治世は29年だったのに対して、極悪の息子マナセの治世はその倍に近い55年間という長期政権でした。マナセは晩年バビロンの捕囚となりましたが、へりくだって主に祈ったため、主の憐れみによってエルサレムに戻されました。しかし、彼の治世の大半は異邦人よりも更に悪いことを民に行わせ、罪のない人々の血を大量に流すという極悪非道の最悪な治世でした
(王下21:9,16)。父王ヒゼキヤが15年延命後に課せられた神のテストで不合格となり、その上、国の将来についての王としての誤った考え方をもっていたため、自分の善良な治世の期間をはるかに上回る長期の悪政の時代を招き、民を苦しめ悩ます結果となったのです。
 ★主に祈って格別の恵みを与えられた者は、その恵みを最大限に生かして、主に豊かな実を結ぶための努力と、子孫の霊的祝福のための祈りと教育とを怠ってはならないことをヒゼキヤ・マナセ親子の史実は如実に物語っています。

聖書テキスト:列王記下18〜21章;歴代志下29〜33章;イザヤ書36〜39章


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キリスト紀元2003年 6月 1日公開


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