ゴスペル よい知らせ キリストをあなたに @31church.net
   みことば黙想

〈22〉カインとアベル

聖書
 1人はその妻エバを知った。彼女は身ごもり、カインを生んで言った、「私は主によって、一人の人を得た」。2彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。

 3日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。4アベルもまた、その群れの初子と肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。5しかし、カインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。

 6そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、7正しい事をしているのでしたら、顔を上げたらよいでしょう。もし正しいことをしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません。

 8カインは弟アベルに言った、「さあ、野原へ行こう」。彼らが野にいた時、カインは弟アベルに立ちかかって、彼を殺した。9主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。私が弟の番人でしょうか」。10主は言われた、「あなたは何をしたのですか。あなたの弟の血の声が土の中から私に叫んでいます。11今あなたは呪われてこの土地を離れなければなりません。この土地が口を開けて、あなたの手から弟の血を受けたからです。12あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」。

 13カインは主に言った、「私の罰は重くて負い切れません。14あなたは、今日、私を地のおもてから追放されました。私はあなたを離れて、地上の放浪者ならねばなりません。私を見つける人は誰でも私を殺すでしょう」。

 15主はカインに言われた、「いや、そうではない。誰でもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見つける者が、誰も彼を撃ち殺すことのないように、彼に一つのしるしを付けられた。16カインは主の前を去って、エデンの東、ノドの地に住んだ。
(創世記4:1〜16)

T.なぜ、カインの捧げ物は神に受け入れられなかったのか
(1)弟アベルは「信仰によって」勝れたいけにえを神に捧げた

 ★上記聖書テキストの3,4節にその理由の一面が示されています。すなわち、カインは地を耕す者として、その産物の一部を適当に選んで持ってきましたが、アベルは「その群れの初子と肥えたものとを持って来」ました。
 ★カインに比べて、アベルは自分にとって格別に貴重なもの、最上のもの(新改訳)を捧げました。このことを、新約聖書へブル書11:4はこう語っています。

「信仰によって、アベルはカインよりも勝ったいけにえを神に捧げ、信仰によって義なる者と認められた。神が、彼の供え物をよしとされたからである。彼は死んだが、信仰によって今もなお語っている」へブル11:4

 ★アベルの捧げ物の優秀性の別の面は、「来るべき罪を取り除く神の子羊」キリストを象徴する捧げ物であった点を見逃すことは出来ません。
 ★アダムとエバは、堕落後、主なる神に「毛皮の着物」を作って着せて頂いた際に(創世記3:21)、神の子羊キリストを着ることによる罪の赦しの道(ガラテヤ3:27)を教えられたと考えられます。

「キリストに合うバプテスマを受けたあなた方は、みなキリストを着たのである」(ガラテヤ3:27)。

 ★アベルは両親の教えを受けて、従順に主なる神の望まれるいけにえを捧げたのでした。

(2)弟アベルに比べて、カインは行いが悪かった
 ★この点について、新約聖書Tヨハネ3:12がこう語っています。

 「カインのようになってはいけない。彼は悪しき者から出て、その兄弟を殺したのである。なぜ兄弟を殺したのか。彼の業が悪く、その兄弟のわざは正しかったからである」(Tヨハネ3:12)。


 ★神礼拝のやり方が悪かっただけでなく、普段の生活におけるカインの行いが悪かったのです。
 ★行いは心の中から出てくるものです。

 
「人から出て来るもの、それが人を汚すのである。すなわち、内部から、人の心の中から、悪い思いが出てくる。不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、ねたみ、そしり、高慢、愚痴、これらの悪はすべて内部から出てきて、人をけがすのである」(マルコ7:20〜23)。

 ★最近子どもの世界ばかりでなく、大人の社会にも見られる「いじめ」は、ほとんどのの場合、まじめな正しい立場の人たちが被害者となります。
 ★神に愛されたアベルが悪魔の子カインに殺されたように、神の御子キリストが民の指導者にねたまれて十字架に掛けられるのが、この世の常なのです。
 ★ですから、この世から憎まれたくない、この世の人々に愛されたいと願う人々はクリスチャンになれません。真のキリスト者でこの世から褒められる人はいません。

「私(イエス・キリスト)のために人々があなた方をののしり、また迫害し、あなた方に対し偽ってさまざまな悪口を言う時には、あなた方は幸いである。喜び、喜べ、天においてあなた方の受ける報いは大きい。あなた方より前の預言者たちも、同じように迫害されたのである」(マタイ5:11.12)。

 ★カインが兄弟殺しの罪を主なる神に指摘され、咎められた時、彼はその罪を神のみ前に素直に認めて悔い改めることをせず、罪に対する神の裁きに不平を並べ、人の復讐を恐れています(13,14節)。
 ★彼の悲しみは命に至る悔い改めの悲しみではなく、死と滅びに至るこの世の悲しみでした。

 
「神のみこころに添った悲しみは、悔いのない救いを得させる悔い改めに導き、この世の悲しみは死を来らせる」(Uコリント7:10)。

U.なぜ、弟アベルを殺害したカインは生き延びることを許されたのか

1)主なる神はカインに地上に生きながらえている間に親族殺人の罪の大きさを自覚し、悔い改めるチャンスを与えられた

 ★カインの父アダムが罪を犯した時、神は「あなたはどこにいるのか」と尋ね、神の御顔を恐れて身を隠しているアダムに自分の罪を自覚し神のみ前に告白させようとされました。
 ★同様に、主なる神はカインの捧げ物を拒否された時、「なぜあなたは憤るのですか、正しい事をしているのでしたら、顔を上げたらよいでしょう。」(6,7節)と自分の過ちを自覚させ、改めさせようとしておられます。
 ★カインが弟を殺した時にも、「弟アベルはどこにいますか」と隠れたところで見ておられる主のみ前で罪を認め、赦しを求めさせようと努力しておられます。へりくだって誠実に求めさえすれば、罪の赦しは与えられたのです。

「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。探せ、そうすれば、見出すであろう。門をたたけ、そうすれば、開けてもらえるであろう」(マタイ7:7)。

(2)罪を犯して悔い改めずに生きることによって人はどうなるか、彼と彼の子孫の実例によって人々に警告するため

「これらの事が彼らに起こったのは、他に対する警告としてであって、それが書かれたのは、世の終わりに臨んでいる私たちに対する訓戒のためである」(Tコリント10:11)。

 a.人は隣人の番人であること

 ★アダムとエバが造られて間もない時代なので、人はみな親類ばかりで、人口もわずかです。その時期に止めに入る人もいない、人里離れた野原に弟を誘って殺害したのは、決して衝動殺人ではなく計画的殺人であることが見て取れます。
 ★その上、自白を期待して「弟アベルはどこにいますか」と質問された主に、「知りません。私は弟の番人でしょうか」と無情に突っぱねています。
 ★「隣人を自分と同じように愛しなさい」と言われる主は、カインには自分の命を大事にするように、弟アベルの命を大事にし、弟を危険と悪から守る「弟の番人」であってほしいと願っておられました。
 ★「主の祈り」の第6番目の祈り「我らを試みに会わせず悪より救い出したまえ」の祈りにならって私たちキリスト者は自分ばかりでなく、親・兄弟・子供・友人・主にある兄弟姉妹(教会の同信の友)のために毎日、災難・悪から守られるように祈り続けています。
 ★兄カインにはこの愛が欠けていました。アダムの心に蒔かれたサタンの罪の種が、長男カインにおいて芽を吹き、大きく邪悪な実を結んだことが明らかになりました。

 
b.カインの罪の地上での報いは主なる神から遠くはなれて地上をさまようことでした
 ★彼は罪の結果、人を恐れて地上を放浪する者となるように主に命ぜられました。
 ★しかし、彼はこの主の命令を無視して、ある土地に定住しました。その土地はエデンの東「ノドの地」でした。その「ノド」という地名は「放浪」という意味でした。神の命令に逆らって定住したノドの地に待っていた生活は放浪生活と等しい落ち着きのない不安定なものでした。
 ★神から下され、彼の体にしるされた何らかの印によって、カインは人々の報復からまぬがれましたが、罪を悔い改めない彼の一生の総決算は、「復讐は私のすることだ」と言われる主の御手によって用意された永遠の地獄の裁きの火の中にありました。

「愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、『主が言われる、復讐は私のすることである。私自身が報復する』と書いてあるからである」(ローマ12:19)。

 
c.カインの子孫からならず者レメクが生まれ、その後のカインの子孫は聖書から消滅している
 ★カインの子孫から出てきたレメクはカインに輪をかけた悪党で一夫多妻制を創始し、受けた傷のために人を殺す無法者でした。
 ★レメク以後のカインの系図は聖書の中から消滅しています。
 ★カインとその子孫のように罪を悔い改めない人々は地上で安らかな一生を送ることができず、来るべき世では永遠の裁きが待っていることを、聖書は繰り返し語り、人々に警告しています。



URL http://31church.net
キリスト紀元2007年 3月 20日公開


20