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   みことば黙想

    〈13〉御ことばを聞くことの飢饉が来る前に


〈12〉ソロモン王にみる栄光と堕落

 ★はじめに
 ソロモン王の栄光と堕落の生涯から、主が私達に求めておられる人生のあり方について考えてみましょう。

 ★ソロモン王の略歴
 父王ダビデが家来ウリヤから奪い取った妻バテセバに産ませた子で、ダビデから数えて二代目のユダヤの王です。彼の国は大河チグリスからエジプトに至る国々を平定し、手中に収める一大帝国でした。その属国からの貢ぎ物で財政は有り余るほどに豊かで、銀などは石ころのように扱われたとあります(1列王10:21,27)。彼は父ダビデの準備した膨大な資金や資材を元に神殿と宮殿とを建て上げました。
 ★ソロモンが夢の中で国家を統治する知恵を求めたところ、主は彼の願いを聞き入れた上、知恵のみならず富も栄誉もお与えになりました(1列王3:5〜15)。それで、彼の国の栄華と彼の知恵を見聞するために諸国の王や民が遠方から謁見を求めて来ました。
 ★ソロモン王の重大欠陥
 出エジプト記
(34:12〜16)や申命記(7:2〜5)に「異邦人と結婚してはならない、偶像礼拝に染まって主の怒りの対象となってイスラエルの根絶を招くから」と明確に記されており、王はこの律法のおきてを知っていながら(1列王2:1〜3)、逆らって外国人妻や側室の誘いに乗って、特に晩年になって偶像礼拝に転落して行きました(1列王11:1〜8;ネヘミヤ13:16)
 ★ダビデが、ソロモン王の即位式において、召集された民の司や軍の長たちを前に、息子ソロモンに告知した言葉の中でダビデは、次のように預言しています。「わが子ソロモンよ、今あなたはあなたの父の神を知りなさい。まったき心と喜ばしい心をもって主に仕えなさい。・・・あなたが主を捨てるなら、主はあなたを永遠に捨てられる
(1歴代28:9)。罪のない者の血を大量に流したユダの邪悪な王マナセでさえ晩年に主の前にへりくだったとあるのに(2歴代33:12,13)、ソロモンが悔い改めたと言う御言葉が聖書のどこにも見い出せないことなども考え合わせ、「主はソロモンを永遠に捨てられた」と結論を下す聖書学者がいますが、筆者も同意見です。
 ★旧約聖書の中の箴言と伝道の書と雅歌の著者でもあるソロモンを、主が永遠の滅びに落とすなどと言うことがあるのだろうかと読者は思われるかも知れません。ソロモンのように聖書に収められた書の著者ではなく、イスラエル人でもない預言者バラムの場合、彼の預言と彼の話が民数記に長々と記されています
(民数記22〜24章)。バラムはイスラエルに反逆して彼らを偶像礼拝に陥れた張本人であり(黙示2:14)、最後は占い師と呼ばれてイスラエルの人々の手によって処刑されています(ヨシュア13:22)。そういうわけで、聖書に自らのことばを残していながら、自分は滅びたという点で二人は共通しています。ただし、ソロモンの滅びはあくまでも推定の域を出ませんが。
 ★ヘブル書11章に出てくる信仰の人々とソロモンとの違いは、一つにはこれらの人々が「地上では旅人であり寄留者であることを告白していた」
(ヘブル11:13)のに対して、ソロモンは約束のもの、つまり知恵も富も名誉もみなこの世で手に入れてしまっていた点です。来るべき世の栄光が神の御前にある満ち足りた喜びであるのに反して(詩篇16:11)、地上の栄光は「空の空、一切は空である」事を彼は発見しました(伝道12:8)
 ★ソロモンと信仰の人々とのもう一つの違いは、自我が砕かれる体験の有無です。アブラハムは最愛の一人息子イサクを捧げる経験を通して、息子のイサクは従順に父に縛られ、はん祭の薪の上に座る経験を通して共に自我が砕かれました(創世記22:1〜14)。ヤコブは、ヤボクの渡しで御使いとの格闘で腿のつがいを脱臼させられる経験を通して自我が砕かれました(創世記32:22〜32)。モーセはミデアンの荒野から同胞イスラエルの救出のためエジプトへ向かう途中で息子達の割礼のことで主に殺されそうになることで(出エジプト4:24〜26)同じく自我の十字架刑に会いました。ソロモンにはこの体験がありませんでした。彼はこの世的人生の成功者として諸国民から絶賛を博していました。「みなの人々にほめられる時、あなた方は哀れな者です」
(ルカ6:26)とあるように、この挫折知らずの順風満帆人生は災いでした。上記のように千人に及ぶ外人妻や側室の偶像礼拝への誘惑に負けたのでした。
 ★この世に生きる私達への神の願いは、ソロモンのように世界を手に入れることでは勿論ありません(マタイ16:26)。クリスチャン事業家として成功して金持ちになることでもありません。また、伝道者として成功して世界一大きい教会を建てることでもありません。「御国が天にあるように、地にも来るように」と主の祈り(マタイ6:10)を祈る時、私達は自分の東西南北に住む人々に御国が来る事、つまり救われることを祈ります。しかし、主が私達に願っておられることは、私達の周辺の人々に先立ってまず私達自身の心の中に神の御国が来ることなのです。私達自身の心が砕かれて、神の御国の支配に屈服する者となることなのです。

 ★むすび
 主はソロモンのように地上にいる間に立派な業績を上げながら滅びる人々より、エノクのように(創世記5:24)何かの業績を地上に残すことはなくても、自分の心に神の国を来たらせ(御霊と御言葉によって神に服従し)、終りまで耐え忍んで「主と共に歩む」人々を、主は求め、また喜ばれるのです。

 ★聖書のことば
 
「人よ、主は先に良いことの何であるかをあなたに告げられた。主のあなたに求められることは、ただ公義を行い、いつくしみを愛し、へりくだってあなたの神と共に歩むことではないか」(ミカ6:8)

 「たとえ人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、何の得になろうか。また、人はどんな代価を払って、その命を買い戻すことができようか」(マタイ16:26)


〈13〉みことばを聞くことの飢饉が来る前に

 
「主なる神は言われる、『見よ、私がききんをこの国に送る日が来る、それはパンのききんではない、水に渇くのでもない、主の言葉を聞くことの飢饉である。彼らは海から海へさまよい歩き、主の言葉を求めて、こなたかなたへ馳せ回る、しかし、これを得ないであろう』。」アモス8:11,12

 ★今、現在地球上の国々の中で共産中国やイスラム教諸国やインドなどにおいては、クリスチャン達が迫害を受けています。去年世界中で15万人以上のクリスチャンが殉教の死を遂げているという情報もあります。聖書が半年分の給料に相当する代価を払わないと手に入らなかったり、聖書を持つ自由・読む自由・信仰の証しや伝道の自由がない中で、それでも彼らは生き生きとした信仰生活を送っています。「生きることはキリストであり、死ぬことは益(ギリシャ語『ケルドス』は『獲得』すなわち、『死ぬことは、永遠のいのちの獲得』)です」
(ピリピ1:21)という命がけの信仰生活を生きているからです。
 ★日本には今キリスト信仰ゆえの迫害は異教色の濃い地方は別として、都会ではほとんどないと言ってよいでしょう。しかし、これは物理的な目に見える形の迫害のことであって、目に見えない霊的迫害となると話は別です。サタンは物理的迫害を加えることが出来なくなると、巧妙な霊的迫害に戦略変換します
(マタイ13:21,22)
 ★霊的迫害とは、有り余る自由とこの世の楽しみを与えて、聖書やキリストのことから信徒の心をそらし、奪い去ることです。元キリスト教国であった西欧の国々で教会が衰退しているのはこのためです。そこの信徒達は自分の自由意志で聖書を読むことや教会に行くことより、この世の快楽を選び取り、自分の手で自分の信仰生命を窒息させてしまっているのです。
 ★日本のクリスチャン達はどうでしょうか。テレビを見る時間をさいて聖書朗読の日課に取り組んでいるでしょうか。いつでも読めるからと先伸ばしにしていると、気が付いた時には年を取って、「目が悪くて読めない。読む気力がない」とぼやくことになります
(伝道12:1〜8)。あるいは、病気や怪我で聖書を読んだり、教会へ行くことが困難になるかも知れません。
 ★今日本にある信仰の自由がこのままいつまでも続くと言う保証はどこにもありません。それどころか、憲法が改正(改悪)され、信仰の自由が制限されたり、奪われる時代が意外と近くに迫っているのかも知れません。海外のサイトを見ていましたら、アメリカ合衆国内でキリスト者への迫害が増加しつつあると報じるサイト
Worthy Newsに出会いました。子供達に教える教科書からアメリカ建国者達のキリスト教的色彩が消し去られ、アメリカはキリスト教の理想の上に建国されたのではなく、他の諸国と同様に当初から世俗国家として建てられたと教えているとのことです。そして、ナチスドイツがユダヤ人に迫害を開始する前に、一般国民にユダヤ人への偏見や憎悪を植え付け、ユダヤ人を疎外して行ったと同様のパターンが今のアメリカ社会のクリスチャンに対する言動(中傷・差別・疎外など)に現れ始めていると、アメリカに行ったことがない筆者にはにわかに信じがたい現況が報じられています。
 ★アメリカで起こることは、いづれ時間差で日本でも起こることが予想されます。日本に迫害の時代が来た時に備えて、日本のクリスチャン達よ! 聖書をよく読み、学び、心に貯えて、祈って、伝道して、主にあって「神のすべての武具を身に付け」
(エペソ6:10〜18)しっかりと心の準備をしようではありませんか。



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キリスト紀元2004年 12月 30日公開


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