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信仰偉人逸話集

〈2〉 祈りの使徒ハドソン・テイラー
    Hudson Taylor
    A.D.1832〜1905



 
聖書のことば 「わたしに願うことは、何でもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである」ヨハネ14:13

 ★はじめに 共産中国では、政府公認の政府の管理下にある傀儡(かいらい)のキリスト教会以外は今も弾圧されておりますが、その激しい迫害の中にあっても、地下運動教会の家の教会の信徒数は驚異的に増え続けています。
 ★今日のこの中国キリスト教会の隆盛の種まきと土台造りをした宣教師たちの一人がイギリス人宣教師ハドソン・テイラーです。彼の素晴らしい信仰を見習い、彼と同じ霊的祝福に与りたく、彼の人物像に迫りたいと思います。

 ★祈りで人の心を動かす ハドソン・テイラーは中国伝道への召命を受け、医者として働きながら伝道したいと思い、母国イギリスで医学、神学、語学などを習得しましたが、これらの学習と並んで、否、それ以上に彼が重視したのが信仰の修行でした。
 ★誰一人頼る人のいない外国で、生きて働いて行くためには、人に求めず、神にのみ求め祈る生活を習得しなくてはならない。祈りで、祈りだけで人の心を動かすことを今、母国に居るあいだに学んで置かねば成らないと考えました。
 ★聖書には「わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。何事でも私の名によって願うならば、私はそれをかなえてあげよう」
(ヨハネ14:13,14)、とあります。この御約束が真実であることを今学んで体験して置かなければ、中国伝道に成功を収めることは望めない、と彼は考えました。
 ★医者の下で信仰修行 彼はその頃、一人の開業医のもとで助手として働いていました。その医師は善良な人でしたが、会計事務も自分でやっていたので大変に多忙な人で、ハドソンには「給料日が来たら教えてくれ。給料を支払うから」と言っていました。しかし、彼は給料の要求を雇い主の医者にはせず、神様だけに要求しようと決意しました。
 ★給料日の過ぎたある日曜日、教会の奉仕の後、一人のみすぼらしい身なりの男の人が訪ねてきて、「家に来て、病気で死にそうな妻のために祈って欲しい」と言いました。その人に連れられて彼はスラム街の一軒の貧しい家に入りました。そこには、痩せこけた4,5人の子供らと青白く生気のない母親とがいました。
 ★彼の懐には、彼の全財産である銀貨一枚がはいっていました。「この銀貨が二枚だったなら、一枚この家族にプレゼントできるのだが」と彼は心の中で考えながら、求めに応じて、祈り始めました。「われらの父よ。・・・」祈りの最中、内なる叱責の声が聞こえて来ました。「お前は、私をわれらの父と呼びながら、銀貨を握り締めて、わたしの子らであるこの人々に与えないのか」。
 ★彼は祈り終えると、意を決してポケットから銀貨を取り出し、「皆さんの必要を十分まかなうものではありませんが、私の今の全財産です。これをお使いください。神は私たちの父であり、間違いなく信頼できるお方です。祈りは必ず聞かれます」と言って、その男性に手渡しました。
 ★ハドソンの心は喜びと平安で一杯でした。そして、ふと次のみことばが心に浮かんで来ました。「貧しい者をあわれむ者は主に貸すのだ、その施しは主が償われる」
(箴言19:17)。彼は、その夜、寝る前に「主よ、銀貨をすぐに返してください。さもないと、明日の食事にさしつかえますから」と祈りました。
 ★翌朝、珍しいことに郵便物が届き、開けてみると、皮の手袋と共に何かが転がり落ちました。それは金貨でした。まさに、みことばの約束通り、貧しい人々に与えた銀貨が十倍以上になって帰って来たのだ。不思議なのは、その郵便物の発送人名がどこにも記されておらず、ついぞ心当たりはありませんでした。あれは、天からの贈り物だったのだとしか、彼には考えられませんでした。
 ★給料の遅配 彼が、主にだけ祈り求め続けて来た給料の未払い期間が、2週間になろうとしていました。例の金貨も、もはや使い尽くす寸前だったある日、雇い主の医師が彼のところに来て、「テイラー君、君の給料をそろそろ支払うころでなかったかね」と言いました。「そうです。実は、もう2週間も過ぎています」、と彼が答えると、「それは、悪かった。でも、なぜ、言わなかったのかね。今日のお金は全部銀行に入れてしまったよ。あした、必ず支払う」と医師は言いました。彼は、がっかりしましたが、待つことにしました。
 ★彼が夜10時に仕事を終えて職場を去ろうとしていた時、雇い主がやって来て言いました。「テイラー君。不思議なこともあるねぇ。私の患者の一人でいつも小切手で支払っている人が、こんな時間に現金で支払いに来たんだよ。これは、君の給料だ。受け取ってくれたまえ」。これで、私は中国へ行く準備が出来たぞ、とハドソンは自分に言い聞かせました。勿論、資金の準備ではなく、心の準備でした。
 ★何でも祈って解決 彼は中国へ行っても、祈りによって何でも主から受け取る訓練を続けました。大きいことばかりでなく、小さいことのためにも祈りました。「小さ過ぎて祈る必要がないと言えるものはない。小さいことが重大問題に発展することもあるから」と彼は言っています。資金ばかりでなく、霊的な必要のためにも何でも祈って受け取ることにしました。主の臨在、霊的力、満ち足りた喜び、平安・・・すべての必要のために祈り、そして、約束通り受け取って来ました。
 ★英中戦争によって西洋人に対する中国人の憎しみがわき上がり、西洋人が礼拝のために集まっているところを襲撃する計画が暴徒によって立てられました。テイラーたちが集まって主の守りを祈り求めると、政府の役人と見える人がやって来て、彼らを救ってくれました。この人が何故、助けに来てくれたかは全くのなぞでした。
 ★おわりに 彼の設立した中国内陸伝道団の長年にわたるすべての必要は祈りによって答えられました。彼はまさしく祈りの使徒でした。


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キリスト紀元2003年 6月 1日公開

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