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作者の想い
本屋さんに行くと、未だに高度経済成長時代の交通関連の絵本が平積みされ、ベストセラーとして販売されています。その時代を過ごした大人にとっては懐かしいのですが、今はボンネットバスもボンネット型のトラックも走っていませんし、よく登場する蒸気機関車も、お父さんお母さんですら乗ったことのない人が多いことでしょう。
今の子供たちは通勤電車を身近に見て、ワンボックスカーやミニバンに乗っています。この現代の都市の風景こそ、すぐそこにある肌身の感覚です。
今の雑踏を汚い都市の風景として見るのではなく、そのごちゃごちゃにかっこよさや面白さ、またときには美しさを発見して、この絵本を読んだ子供たちが大人になるときに記憶してもらえるとうれしいと思います。


各誌紹介文

【pen 12/1号】(2003/12)
早朝、徐々に街が目覚め、活発に活動し、夜、眠りに就くまでのようすを、実在するある踏切を舞台に定点観測で描いた絵本。
「お父さんが読み聞かせる絵本」というキャッチコピーだが、「うわうー」とサイレンを鳴らしながら現場へ急ぐパトカーや、踏切の上にまで伸びてしまった渋滞の列を眺めていると、子供よりも読み手であるお父さんのほうがハラハラドキドキしちゃったりして。
なぜか子供が大好きな踏切。CGによる不思議な質感の絵と、「まちは わさわさ めざめます」などといった独創的な擬音語が臨場感を増やしている。
「往年の子供たち」にもきっと、自分が踏切マニアだったことを思い出させてくれるはずだ。

【のりもの倶楽部】(2003/12)
京急羽田空港線と第一京浜が交差する交通の要所・京急蒲田駅横の踏切の一日を描く絵本だ。写真をベースとして風景を忠実に再現したCGに、擬音語を多用した独創的な本文を添え、定点観測というユニークな切り口で展開。
繊細なタッチと美しい色使いで、乗り入れ会社を含めた5社の列車や、大小さまざまな自動車の行き交う様子が描かれる。読みながら交通ルールや都市鉄道インフラの構造が理解できる内容で、対象は6歳から(読み聞かせの場合は3歳から)。
親子で一緒に読んで語らうひとときにピッタリだ。


【おさなご】(2003/9)
線路と道路が交わるポイント、踏切。 「だったん どっとん と、ぎゅうぎゅうでんしゃは つうかします。がるんるんるん と、トラックは まちます」
トラック、電車、パトカー、バイクなどが絶え間なく通過したり踏切待ちをする、京浜急行蒲田駅付近の踏切の一日の様子を、一瞬、写真かと思ってしまうような緻密なCGで描いています。早朝から昼間、そして雨、夜…と微妙に変化していく空の色や、「だったん どっとん」「かわんかわんかわんかわん」「がちゃん ぐぬーん」など独創的な擬音語が楽しい絵本。
お父さんもぜひ、一緒に楽しみながら読み聞かせをしてほしい1冊です。


【RailMagazine243号】(2003/11)
CGクリエイターとして活躍する岩渕泰治(いわぶち・やすじ)氏が初めて製作した鉄道絵本。
題材は国道15号線(第一京浜)と交差し、毎年正月に開催される"箱根駅伝"のコースになっている、京浜急行電鉄空港線の「京急鎌田(空)第1踏切」(東京都大田区)。
羽田空港へのアクセスルートとして終日に渡って京急をはじめ、都営地下鉄・京成電鉄・北総開発鉄道・都市基盤整備公団の車両も次々に乗り入れて来る踏切としてレイルファンにはおなじみのスポットだが、過密ダイアのためクルマを運転する者にとっては渋滞名所として知られている。
本書はこの踏切のとある1日を追ったもので、生ゴミを求めてカラスが集まる早朝からラッシュアワー、データイム、夕方から深夜までの様子が、同一視点からCGで克明に描かれている。
同線を通る各事業者の車輌はもちろん、大都会の幹線道路ゆえさまざまなタイプのクルマも登場するため、ユニークな題材ながら幼児、どくに男の子向けの絵本としてお薦めの好著である。
本書の対象年齢だが、読み聞かせなら3歳から、自分で読むなら6歳からとしているが、母親ではなく父親が読み聞かせをしやすい構成となっている。
なお、題材となった踏切は最寄の京急鎌田駅を中心とした連続立体交差化工事が進められており、近い将来消える運命にある。


【鉄道ファン12月号】(2003/11)
この絵本は従来ストーリーの存在しない写真絵本が大半を占めていることを憂慮した著者が、新しい試みとして製作したものである。
イラストは写真を基にグラフィック化した、リアルな感じで表現されている。
交通の要所として、また鉄道ファンにも有名な第一京浜道路と京急羽田空港線が交差する京急鎌田駅横の踏切を題材としており、ここを通過する車両(京急と都営地下鉄浅草線を通して乗り入れてくる鉄道4社の各特長ある車両)を登場させることによって、鉄道ファンにとっても大いに興味深いビジュアルを描き出している。
各ページにはごく短い言葉が記されており、これを母親ではなく父親が3歳ぐらいの子供に読み聞かせやすい構成で、子供との話題を提供することを狙いとしたユニークな絵本だ。


MdN【エムディエヌ】(2003/11)
システムエンジニアであり、今まで多くのCG作品を手掛けてきた岩渕泰治氏が、初めてつくったCG絵本。幹線道路と鉄道路線が交差した実在する踏み切りをテーマに、その1日を綴った内容。この絵本を通して、都市生活の問題点を垣間見ることができる。


【鉄道ダイヤ情報11月号】(2003/11)
鉄道シミュレーションゲームなどでもお馴染みの、コンピュータグラフィックスだが、このたび、CGクリエータの岩渕泰治氏の手によって、あたらしい鉄道の世界が、その重要な要素である「ふみきり」をモチーフにしてリアルに、そして絵本という"伝統的な"かたちに描き出されている。
既存の絵本では、いまや現実感を失っている、昔の蒸気機関車が主役だったり、単なる図鑑形式のものが目立つが、そうした現状を打破すべく、ストーリー性も重視して"現代の絵本"を試みた内容に仕上がっている。