65円のハンバーガーを食べながら、これからの職員のあり方を考えた
平日半額ののぼり旗に誘われて、昼食にハンバーガーを食べた。ちょっと寂しい食事だが、平日が休みの職場の利点といえば利点。利用したことがある人なら、マクドナルドといえば店員の接客態度が思い起こされるだろう。そう、あの笑顔とワンパターン。「ご一緒にマックフライポテトはいかがですか」などというの声かけも有名だ。そういえば、さっきは言われなかったようだが、マニュアルも見直されているのかもしれないが。
ともあれ、店員の個性はまったく感じられない。多くの人は店員の顔も覚えてはいまい。ほとんどの店員はアルバイトだから、誰がサービスしても同じ質の応対ができるようにする。その点では、このやり方は優れていると言って良い。一時はやったと記憶しているが、マクドナルドの新人教育マニュアルは出版されていて、一度本屋で手にしてページをめくってみたことがある。
もちろん、買う気にはなれなかった。自治体に働く自分たちの仕事のありようとは、ずいぶん違うと感じたからだ。ぜんぜん参考にならないかといえば、そんなことはない。窓口での対応について言えば、「ごいっしょに印鑑証明はいかがですか」なんていう訳にはいかないが、笑顔の対応などは心すべきことではある。
しかし、一言で言えば、私たちは市民に顔を覚えてもらえる質の仕事をしなくてはいけないと思うのだ。もちろん、仕事の質で言えば、誰が担当しても一定のレベルを市民に保証しなければならないことは言うまでもない。しかし、一人の人間としての仕事に対する思いが、対象である市民に伝わるような仕事をしなければ、いまや公務員が担う意味は見つけられないのではないかと思える。
今民間委託の拡大が問題になっている学校給食で考えてみると、今までの学校給食は職員の顔が見えないものではなかったか。各学校で給食を作っているとはいえ、統一献立でどの学校も同じメニュー。食材も一括購入で同じもの。これでは、作り手の思いも何も伝わりはしまい。
民間委託しても同じ質の給食が作れると市教委は説明しているという。賛成できかねるが、ある意味でそこに働く職員の仕事ぶりや仕事にかける思いが見えないような給食なら、なるほど民間でも作れるに違いない。問題は、そういう質の学校給食を変えようという関係者一人ひとりの強い思いが、市民や市教委に伝わってこないことにあるのではないか。
学校給食がマクドナルドのハンバーガーと同じであって良いはずがない。まして、その仕事の質や熱心さにおいて、負けているわけにはいかないはずだと思えてくる。安いだけで思いがこもっていなくては、やっぱりわびしい食事になると、65円のハンバーガーを食べながら思いをめぐらせた。
(2001.11.22)
