合併問題で市民の期待に応えるために
「市町村の合併をしようとする市町村は、(中略)合併市町村の建設に関する基本的な計画(中略)の作成その他市町村の合併に関する協議を行う協議会(以下「合併協議会」という。)を置くものとする。」「合併協議会の委員は、(中略)関係市町村の議会の議員又は長その他の職員をもつて充てる。」
これは市町村の合併の特例に関する法律第三条の条文だ。同法によれば、「合併協議会」は議員と市長などが委員となる。他には学識経験者と法に基づいて合併協議会を置くよう請求した者の代表を委員に加えることができるだけだ。
「合併協議会」は市町村合併をしようとする=つまり合併を決めた市町村が議会の議決を経て設置するものなのだ。地方自治法の規定からしても、途中で抜けない限り、合併協議会で決められたことは、当然参加している市町村を拘束すると考えるのが普通だろう。これを市民の代表や議会の代表を交えたオープンな場とは言わない。
ところで、市が発表した合併・政令市問題の市民アンケート結果によれば、「今後、市民の代表や議会の代表を交え、オープンな場でしっかりと検討を行うべきと思うか」の問いに、9割の市民が賛成したという。市民の一人として、ほとんどの市民がこの問題に関心を持ち、しっかり検討すべきだと答えたことを誇りとしたい。
「合併協議会」はこのアンケートでいう「オープンな場」でないことは法が定めているとおりだ。この結果をもって「法定協議会という次のステップに進む市民的合意ができた」という考えは、市民をばかにした見解で到底容認できない。
問題はどういう場を作るのかだ。不利な部分も含めた公平な情報公開のもとで、本当に様々な意見の市民の代表が参加でき、検討することができる場を作ることが必要だ。そして、一定の検討の後には、公民館などで住民説明会を開いて意見を求めることもあって良い。
こうした取り組みの結果をまとめて市民に情報を提供し、その上で住民投票を行って、合併賛成が多数となれば、当然合併協議会に参加すべきものだろう。
こうした誠実な取り組みなしの合併・政令市化では、本当に市民の自治の力を伸ばしたり、市民主体のまちづくりの発展につなげることはできないと思うが、皆さんはどうお考えだろうか。
(2003.3.1)
