フリーターで良いのかを考えた
 フリーターが大幅に増加し、2001年で417万人となっているという。2004年の今、その数はさらに増加しているに違いない。

  「フリーター」という言葉は、日本経済の元気がよかった80年代後半に生まれた。組織に縛られない就業形態をいう。お気楽で自由なイメージ。フリー・アルバイターとはよく言ったものだ。しかし、今の現実はそんな甘いものではない。正社員になりたくてもなれずにフリーターになった人が7割を超える。自慢できる話ではないが、我が家の長男・二男ともフリーター暮らしをもう3年あまり続けている。二人とも昼と夜の二つのパートやアルバイトを掛け持ちし、その労働時間は深夜に及ぶ。

 現実はとても「フリーター」などというものではなく、こうした表現は、今や問題の本質を糊塗するものになっている。

 パート・アルバイトの収入は年齢とともに増加することはない。世帯形成期になっても収入は少ない。当然その経済基盤は弱いから、消費低迷の要因になり、未婚化、晩婚化、少子化などを深刻化させるに違いない。ただでさえ結婚に踏み切る若者が減っているもとで、パート暮らしの人と結婚しようなどと思う人は少ないはずだから。国民生活白書ですら、この問題が「日本経済の成長を阻害する恐れがある」と警告している。

 わが子がそうなるとは思わないが、経済的な不安定さは、犯罪の増加などにつながらないかと心配にもなる。

 19歳以下の新卒入職者に占めるパート労働者の割合は91年の12.3%から2001年には40.4%と大幅に上昇している。雇用する企業側の都合が「フリーター」を生み出しているのだ。

 年金支給開始年齢に合わせて、退職年齢の65歳への引き上げが始まろうとしている。このことは当然ではあるが、一方で若年労働者の就職難を深刻化する。10%あまりという若年層の失業率やパート労働の増加は、長い目で見れば、年金や健保などの社会保障制度の基盤を掘り崩しかねない。

 高校や大学の教育内容を見直して就業に向けた意欲や能力を高めることや、失業後早期に積極的に職業紹介や職業訓練を受けさせること、インセンティブをつけて職業紹介・訓練施設を訪問させ就職活動を続けさせることなどが国民生活白書でも提案されているが、企業の努力も求めなければなるまい。その社会的責任の問題も含めて、私たちのこれからの社会のあり方として、「フリーター」という若年パート・アルバイト労働者を次々に生み出して良いのかを、本気になって考えなければと思う。

 春闘の時期を迎える。大儲けをしていても賃下げを叫ぶ経営側。このままではいけないとの思いを行動に移すことが、社会を変えることになると考えよう。  

                                       (2004.1.23)