武富士放火とNTT6万人リストラ、小泉内閣の構造改革は団子三兄弟かも
青森県弘前市で起こった武富士放火事件は、死者5人を出す本当に悲惨な事件となった。到底許すことのできない犯行であり、早く解決することを祈りたい。しかし、それにしても、犯人はただの1円も取らずに逃げており、犠牲となった方や家族を思うと、なんともやりきれない思いがする。
武富士といえば消費者金融のトップ。あのダンスのTVコマーシャルは話題になっており、大もうけをあげていることは良く知られている。だから狙ったというわけではないだろうが、消費者金融の店は街のあちこちにできているし、目につきやすい作りになっている。
家族が消費者金融に勤めている人にとっては、本当に人ごとではない。今後ますますこの手の犯行が増えるのではないかと危惧するのは、私だけではなかろう。
犯人がどんな人物なのかはわからないが、はっきりしていることは、そうとう金に困っているということだ。マスコミでは連日のように金に絡んだ殺人事件が報道される。その数が増えていると思えるのは、決して偶然ではなかろう。不況の中、倒産や首切り・リストラは横行し、金に困っている人は増えつづけている。切羽詰って今回のような犯行に及ぶ人間が出てくるのは、容易に想像がつく。
そんなことを考えながら新聞に目をやると、そこには「NTT6万人削減」「小泉『構造改革』路線で浮上」という見出しが踊っている。NTT東日本と西日本の両社員11万3千人を、3年後をめどに6万人を子会社・孫会社に転籍して削減する。しかも51歳以上の労働者や全国的な転勤に応じない者は退職させ(首切り)、子会社へ20〜30%安い賃金で再雇用するというのだ。当初のNTTの削減計画は3万人だったというから、小泉内閣の誕生でその数が倍に上積みされたというわけだ。
おりしも国会では小泉首相の所信表明演説がなされ、これに対する各党の代表質問も始まった。「構造改革」と言えば聞こえはいいが、要は労働者の首を切ったり、賃金を切り下げてコストを減らし、不良債権の処理を進める。財政支出も抑えるため、国民負担は大幅に増やすというものだろう。その行き着く先は一層の弱肉強食、優勝劣敗の社会であり、言葉は悪いが、貧乏人はますます貧乏になっても我慢せよ、国は面倒見ない。というわけだ。
これでは社会不安はますます高まり、凶悪な犯罪は増えざるを得まい。武富士放火とNTT6万人リストラ、そして小泉構造改革が団子三兄弟のように、一本の串でつながって見えてくる。
