私たちの知性は暗黒面に負け、日本の政治は暗黒面に落ちたのか?
 投票終了とともに、自民党の圧勝を告げる選挙報道番組が始まった。くだらない番組に腹を立てて、すぐに映画スターウォーズのメイキングDVDにテレビの画面を切り替えたおかげで、あのダースベーダーの登場シーンの音楽と、自民党の圧勝のニュース画面が重なって思えた。

 少し前の雄叫で、スターウォーズについて「民主主義が壊され銀河帝国が誕生していくあたりは、アメリカと日本の今の政治状況のもとでは、暗喩と思えるところがある」と書いた。それが現実のものになったように感じたものだから、余計にそう思えたのだろう。

 国民が投票で小泉自民党を支持したという選挙結果は事実。争点かくしの小泉劇場にマスコミが悪のりして、国民に真の争点を提示し、情報提供すべき役割を放棄したことにも原因があるだろう。

 理由はともあれ、国民の多くが自らの意志で選ぶ政権が、これから日本に、私たちにもたらすものを考えると、暗澹たる思いにとらわれる。あのスターウォーズの銀河帝国ならぬ、企業帝国とその手先となった小泉首相のもとで、国民の多くは日々の暮らしにあえぎ、一部の金持ちや大企業は笑いをこらえるのに苦労する世の中。ついには、あの銀河帝国のように、私たちの子どもたちが銃を持たされて、戦いの場に放り込まれてしまうのではないかとすら、心配したくなる。

 この程度のごまかしを見破れず、国民の知性は暗黒面に負け、日本の政治も暗黒面に落ちてしまったのか。

 いや、そうだとは思わない。改革を求める国民の素朴の気持ちが巧妙に利用されただけであり、今後の自民党の政策の進展で、その矛盾は必ず国民の前に明らかになるに違いない。よく考えて郵政民営化を選んだ人も、日本の大企業にきちんと真の意味でのCSR(企業の社会的責任)を果たさせるだけの力が、自分たちにないことに、まもなく気づくだろう。

 今後の政策の結果が、否応なくその失敗のつけを私たちに払わせようとするからだ。その第一歩は、公務員に大幅な賃下げを押しつけること。そして、次には消費税の大幅引き上げがくるに違いないから。

 その時、多くの国民が自分だけの利益を考えて暗黒面にとらわれるのか、それとも多くの弱い立場の人とともに、立ち上がるのか。そこにかかっているだろう。そう、スターウォーズで反乱軍がついに暗黒卿が支配する銀河帝国を打ち破ったように。そして、そこでは、ぎりぎりのところで発揮される、親の子を思う情が鍵になるに違いないと思うのだ。

                                                  (2005.9.12)