戦ってみよう
第一回「ウクレレで戦う 」
さてみなさん、ウクレレをご存じですね。ギターみたいな形のちっちゃくてかわいい楽器ですが、ギターとは大きく違う点があります。それは弦の数です。ウクレレの弦は4本あります。これはつまり弦が4本しかないということです。ギターには何本の弦があるでしょう。そう、6本ですね。では、左手を広げてみましょう。なぜ左手かというと、弦を押さえる方の手だからですが、その左手に指が6本、あるいはそれ以上ある人というはあまりいないはずです。右手の場合もだいたい同じはずです。念のため数えてみていただいてもけっこうですが、さて、その手で4本の弦と6本の弦、どちらが押さえやすいと思いますか。おわかりですね。論理的に言っても、ウクレレはギターという物体に比べて実に自然で、人間にふさわしい楽器だということです。はい、そこの人、ベースがどうだとか三味線がどうだとか言うのはやめてください。退室してもらいますよ。いいですか、たとえば、Fのコードが押さえられずにギターを断念した人は日本だけでも8千万人いると言われています。しかしウクレレのFは、これです。
(図A)F。これだけ。
あこがれのF和音をかくも容易く奏でることができたとき、あなたの人生観は一変するはずです。さあ、ウクレレを用意して、こころ行くまで思う存分Fのコードをかき鳴らしてみて下さい。
Fの音なんてしない、何か変な濁った不協和音しか鳴らないぞ、という方もいらっしゃったかもしれません。失礼しました。ウクレレの4本の弦の調律についてご説明さしあげておりませんでした。弦は正面から見て右側が下になるわけですが、そちらから上にむけて1弦、2弦、3弦、4弦と数えます。それぞれの開放音、どこも押さえていない状態の音は、1弦=A(ラ)、2弦=E(ミ)、3弦=C(ド)、4弦=G(ソ)となります。
(図B)基本的な各弦のチューニング。
ここで注意するべき点は4弦のGは3弦のCよりも高い音になるということです。低くする技法もありますが、それはあくまで例外です。音の合わせ方については正確な音程を利用できるものなら何でもけっこうです。電子チューナーでも調子笛でもチェンバロでも下校のチャイムでも灰皿でも猫の泣き声でも身近にあるもので試してみてください。
(図C)音階を鳴らしてみようかな。
ではいきなりですが、曲にチャレンジしてみましょう。課題曲は「北多摩防衛軍アイキャッチャー」です。みなさんご存じの、番組のCM前後に入るあの短いテーマですね。ジングルとも言います。さあ、コードを押さえてストロークしてみてください。ストロークとは空いている方の手、通常の場合右手の、人差し指か親指で4本の弦を一気に弾き鳴らすことをいいます。右足や舌でやる人はあまりいません。ふつうは上から下に向かって弾きますが、下から上に、を適当に交ぜると上級者になったような気がして気分がいいかもしれません。また、ウクレレの場合、あまり強く弾く必要はありません。ソフトに、適当に弾く方がウクレレらしく聞こえます。ただしデスメタル系のウクレレプレイヤーをめざす方は思いきりかき鳴らす奏方にチャレンジしてみてもよいかと思います。ではやってみましょう。
D7が押さえづらいようでしたらG7で弾いてもよしとします。
(D)演奏しちゃうぞ。
できましたね。はい、これであなたも一人前のウクレレ戦士です。今後も研鑽を重ね立派なウクレレ勇者を目指してください。