ミステリについて思ったことなど 2002/05/05
- 国内ベスト〜国内作品を読むきっかけ
- はやみねかおる
国内ベスト〜国内作品を読むきっかけ
ベストというか、わたしが衝撃を受けた国産ミステリといえばこの3つ。これがなければ、海外ミステリ以外読んでなかったかも、とさえいえます:
- 『ブラックスワン』 山田正紀 (講談社文庫)
- 『ハーメルンの笛を聞け』 深谷忠記 (中公文庫)
- 『慟哭』 貫井徳郎 (東京創元社)
好きという意味では他にもありますが(『魍魎の匣』(京極夏彦)とか)、衝撃という点ではいまでもこの3作品。感謝をこめて、紹介したいと思います。
『ブラックスワン』
国産のいわゆる新本格ものを数冊読んで、「う〜ん」と思っていたころに読んだのが『ブラックスワン』でした。
新本格に「う?ん」と思ったのは、事件やトリックはあるけどドラマがないから。小説としてのドラマというのか、そういうのがあまりにも希薄なので、リアルに感じないしつまらない。よく「人間が描けてない」などと批判されてしまうのも、そういうことだと思うのですが。そんなときに、紹介されたのがこの作品。紹介者は、SF作家山田正紀のファンで、「ミステリだが読んでみた。ミステリファンから見ていい作品なのか?」を知りたかったみたいです。
読んだところが、これ、よかったです?。
まず、ドラマがある、文章もしっかりしている。そのうえで伏線や意外性などミステリ的な部分もしっかりしている。しかも、手記を手記として安心して読める!(笑) そのうえで伏線になっている!! (記述ミステリってどうも苦手なんですよ?。何で手の込んだ手記書くのか、書くくらいなら書かないほうが犯罪はばれないぞ、とか思っちゃうほうなんで^^;)
てなわけで、日本にもちゃんとしたミステリがあるんだわ、と安心した作品です。作者がプロパーかどうかなんて二の次です。でも最近はプロパーな方よりハイペースでミステリを発表されてますよね。
『ハーメルンの笛を聞け』
荘と美緒のシリーズ2,3冊を読んだあと読んだ深谷忠記作品。荘と美緒のシリーズは紀行ミステリ系のシリーズですが、『ハーメルン…』は単独の初期作品です。
ふつうのミステリにやや食傷気味だったころ読んだのですが、これは何というかすばらしかったです。内容の説明はしません。しないほうがいいと思うので。とにかく意外性があって、テーマ的にもいいと。それだけです。
……とこれに感動したわたしが、はやみねかおるの某作品に対して批判的なのは理解していただけますよね?
『慟哭』
貫井徳郎のデビュー作にして、(いまのところ)最高傑作。これは「すごい、すごい」と噂には聞いていたけど、刊行して2年くらい経ってから読みました。だってハードカバーなんだもん……。
でも反省しました。新刊のとき読んで、みんなに薦めまくるんだった!って。 サプライズエンディングもの、とは言えるのですが、それ以上は説明できません。読んでください。20代半ばでこれだけの作品&文章が書けるなんてすごすぎます。
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以上3作品、わたしが読んで「おおおおっ」と思った作品です。
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