菌糸ビン飼育について


このコーナーでは菌糸ビンを使っての飼育法を私の経験と一般論をもとに解説します。

菌糸ビン飼育とは栄養たっぷりの培地にヒラタケなどの菌糸を培養したものを幼虫の餌にして飼育する方法です。
初心者でも簡単に大きな成虫を羽化させることのできる確率の高い飼育法です。しかしそれには少しだけ約束事があります。以下に注意する事を記します。

一般的な注意事項

1.飼育温度は25度を目安にしてそれ以上高温にはしない。
2.培地の状態に注意してビンのまわりの3/4以上菌糸が無くなったら交換する。
3.初齢幼虫は冬季に活動が鈍くなると菌糸にまかれて死んでしまうこともあるのであまり低温にはしない。
4.キノコが生えたら培地の栄養を取ってしまうので速やかに取り除く。
これらに注意すれば高い確率で大型の成虫を羽化させることができます。
尚これが絶対ではありません。一般的に言われていることと私の経験による意見です。他にもかなりの高温で飼育して超大型の成虫を羽化させている人もいますし、一度も交換なしで大型の成虫を羽化させた人がいるのも事実です。しかしこれらは羽化不全等の確率が高いのは否定できないと思いますので、最初は安全な方法で大型をねらうのが良いのではないでしょうか。

それではこれから飼育の実際を紹介します。


1.幼虫の投入

450か900mlくらいの菌糸ビンに初齢または2齢後期までの幼虫を投入します。
初齢でしたら450mlの方が良いでしょう。

菌糸ビンのふたを取り表面に菌糸膜があれば滅菌したスプーンなどで取り除き幼虫が入るくらいのくぼみを作りそっと幼虫を入れます。この時幼虫を直接素手でさわらないようにします。又、作業は素早く行った方が無難です。元気な幼虫であればすぐに潜りはじめるでしょう。

割り出した初齢幼虫
投入直後の初齢幼虫

2.餌交換について

初齢を450mlビンで温度25度で飼育しているとオス幼虫でおよそ3ヶ月以内には終齢になります。
終齢になるとバリバリ餌を食べはじめるので、ビンの周辺の白い菌糸膜が、3/4くらい無くなったら餌交換をします。できれば10月頃の涼しくなった頃が良いでしょう。

しばらく涼しくしておき食痕が出来始めたら再び温度を25度にして飼育します。
交換の方法は、新しい菌ビンの上部を1cmくらい削り取り中心を円錐状に削り幼虫が潜りやすくしてからそっと入れてあげましょう。フィルターをかじることがあるので潜るまで注意が必要です。交換のショックで糞を大量に出して多少やせますが、食べはじめるとすぐに戻ります。

そろそろ
交換時期かな
交換直後の終齢オス
交換後の終齢

3.蛹化.羽化について

終齢幼虫が成熟期を迎えると体全体がかなり黄色っぽくなってきます。こうなるとそろそろ蛹化の時期ですので
あまり頻繁にビンを動かさないほうが良いでしょう。

そのうち自分の体の倍ほどのマユ型の蛹室をつくりはじめます。作り終わるとその中でじっと動かなくなりやがて体がシワシワになります。そして体がピーンと棒のようにのびきると次の日には真っ白な蛹になっていることでしょう。

最初真っ白だった蛹もだんだんうす茶色になり1ヶ月もすると蛹のかわの下に成虫の骨格ができてきます。
蛹全体が赤黒っぽくなってきたら羽化がはじまります。

蛹化しました
慎重に蛹室をちょっと失礼

*さあ、あなたも菌糸ビンで幼虫を飼育してみませんか? 
あなたの工夫しだいで超大型も夢ではなくなりますよ。

*もっとこうしたほうがいいよ等のご意見お待ちしております。

*画像はすべて私の飼育個体です。


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