「怪説・世界のクワガタ」 第10回 ミヤマクワガタ (2)

A.CHIBA


Lucanus cervus turcicus STURM

[分布] ブルガリア・トルコ
[サイズ] ♂35−75mm
♀35−40mm

Kamtschija BULGARIA
June.1989 ♂62mm

この種はヨーロッパに広く分布する触角が4節の Lucanus cervus cervus と外見は良く似ていて、違いは触角先端(長くなっている部分)が6節である事以外には区別が難しい。標本でも触角が破損していたり紛失していたりすると同定が困難なものも出てくる。また完全な個体でも小型個体は次種 Lucanus cervus akbesianus と似ており触角も6節で同じ為、これとも区別するのは厄介。トルコとブルガリアに分布とされているが、ブルガリアには触角が4節の普通のヨーロッパミヤマも分布している。


Lucanus cervus akbesianus PLANET

[分布] 北シリア
[サイズ] ♂50−95mm
♀40−45mm

Akbes SYRIA
1911 ♂ 79mm

北シリアのトルコと国境を接するあたりに有る産地で採集されるらしく、トルコ側にも産するかもしれない。この種の大型個体は大顎の先端が大きく開く。個体によっては大顎が直線的になり、過去には100mmに達するものも採集されたと言われる。古い(1900年代前半)ヨーロッパ人のコレクションリストを見ると本種はかなり多産したらしく多数の個体を所有していた事が分かり、かなりの大型も採集されたと想像出来る。触角は6節で昔からミヤマ好きにはあこがれの種でこの種の大型を手に入れるは夢。今まで日本に来る標本は古い標本が多く、この為かすでに産地はつぶれたのではないか ! とも噂されたが、現在でも産地に行けば採れると言う。また、今回写真は載せられなかったがこの種に良く似た種で Lucanus cervus syriacus と言う亜種が知られている。 ssp.akbesianus よりも大顎が強く湾曲しており先端はあまり大きく開かず触角は同じく6節である。ただし別亜種ではなく型であるとの説も有る。


Lucanus cervus judaicus PLANET

[分布] 北シリア・トルコ
[サイズ] ♂ 50−100mm
♀40−50mm

N.SYRIA
Jury. 1995 ♂ 94mm

ミヤマクワガタ属では、おそらくこの種が一番の大型種で簡単に80mmを超え、最大のものは100mmに達する。ヨーロッパには105mmオーバーの標本も存在すると言われなにせでかくなる種で♀も50mmを超える。♂の大顎は少し細身で触角は4節。前種 ssp.akbesianus と 同じ産地で採れるらしく、近年になって北シリア産の標本が多く入って来る様になったがなにせ超大型種、ミヤマ好きは熱くなった。


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