「怪説・世界のクワガタ」 第8回 ミヤマクワガタ (2)

A.CHIBA




fig3

fig3左は Lucanus angusticornis 北ベトナムのタムダオ産。大顎が根元で外側に張り出しているのが特徴で、図示できなかったが小型の個体でも他のタテイタミヤマとは割と容易に区別が出来る。この種は発生する数が年によって増減が激しいとも言われ他のタテイタ系の種よりも少ないのか、標本も他の種よりは見かけない(特に大型)。サイズは最大でも80mm程度までにしかならないが人気は高い。
次の2頭は Lucanus laminifer vitalisi ビタリスミヤマクワガタ 、写真は北ベトナムの Capa (サパ)産。以前は次fig4左の Lucanus laminifer とは別種とされていたが、大顎に小歯が出る程度の相違しかなく現在は亜種とされる事が多い。この種は大顎にしなりのあるモノがいてなかなかカッコ良いが、本種の標本を見るまでDIDIERの図だけでしか見た事がなく実際に見るとこの点、図ではかなり誇張して書いてある。また頭部の板状の突起は正に立板で垂直に近くなっている個体が多く見られる。やはり最大でも80mmは超えないようでタテイタ系の中ではアマミミヤマを除くと小型の部類である。



fig4

次fig4左の2頭はタテイタ系ミヤマの中では一番おなじみの種で Lucanus laminifer ラミニフェルミヤマクワガタ。一番左の写真は北インド アッサム Khasi Hill 産、このあたりで採れる本種が一番大型になるようで90mm近いものもいるようである。真ん中はタイランド Chiang Rai 産。写真の個体は大顎が湾曲しているが、普通はやはり直線的で稀に湾曲の激しいものがいる。この種は北インドからタイ北部、中国の雲南省まで分布している。
右は奄美大島の Lucanus ferriei アマミミヤマクワガタ。採り方がわかるまで、非常に希種だとされていて標本の値段も高かった。


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