Gravity Control
制御

カルドセプト リボルト戦術論 5-2 干渉の指針

 干渉には正解がないことと、いくつかの方法があることは分かりました。しかし、試合中に判断できなければ意味がありません。
 「今、このカードを使えば、確実にこうなる」と予測できる場面なら、干渉するか否かの判断は比較的容易ですが、全ての場面でそういう判断が下せるとは限りません。展開が見通せない不確実な状況で「この干渉を行ったらどうなるか分からない」ことは、よくあります。
 この項では干渉の判断基準や注意点を解説します。

1 干渉すべき相手か=相手がいると自分は困るか

 相手のブックが自分にどんな影響を与えるのかを読み解いて、共存できる相手か否かを判断します。
 例えば、自分が「【アクアデューク】多めの水ブック」だとしたら、「【シャイニングガイザー】の多い風ブック」に干渉する動機は弱くなります。【アクアデューク】に【シャイニングガイザー】は効きませんから、少なくとも、【シャッター】などの手札干渉スペルで【シャイニングガイザー】を破壊することは無いでしょう。
 風ブックが【シャイニングガイザー】を使って他のプレイヤーをけん制できるように立ち回るのが、上手なプレイングです。

 これとは反対に、共存できない相手なら、干渉する動機が強くなります。
 上記の例で言えば「【ナイトエラント】をたくさん入れた火ブック」は、「【シャイニングガイザー】の多い風ブック」とは共存できませんから、【シャッター】などの手札干渉スペルで【シャイニングガイザー】を破壊することになります。

2 潜在的な1位を見抜く

 4-3 リソース(連鎖と魔力)で述べたように、相手が目標魔力を達成するためには、連鎖と魔力という二つの必要条件があります。
 相手がどのような条件が必要かを逆算することで、どのくらいの手番やカードが必要かを読み、有利な状況か不利な状況かを判断することが可能です。もし、相手が自分よりも有利な状況であれば、相手に干渉して達成を遅らせる動機づけが強くなります。
 例えば、一見すると同じ資産を形成している「51111」と「44111」では、ランドトランス戦術(領地売却)を踏まえると、前者の方が有利と言えます。

3 目標魔力達成の必要条件から導く

 いざ、干渉するとなった場合、「資産=連鎖×魔力」であることを踏まえると、目標魔力達成のために必要な連鎖と魔力を比較して、より必要条件を満たすことが困難なリソースを叩くことが、効率的な干渉です。「土地持ちの魔力を叩け。魔力持ちの土地を叩け。」は、干渉の指針となるものです。
 ただし、手札やクリーチャーの配置状況によっては、必ずしも任意のタイミングで干渉できるとは限りません。この場合は、必要条件A:連鎖の形成と必要条件B:レベルアップ(魔力の獲得)を直接崩すのではなく、それを成り立たせる条件a1~6やb1~6を崩すことになります。以下に例を示します。

必要条件A:連鎖の形成

条件 条件を満たすための行動 条件を崩すための干渉例
条件a1 クリーチャーカードを引く 【スクイーズ】で破壊する
条件a2 クリーチャーを配置する 空き地を埋める
条件a3 クリーチャーと土地の属性を合わせる 相手の領地に【クインテッセンス】を使う
条件a4 領地を守る(アイテムを持つ) アイテムカードを破壊する
条件a5 領地を守る(クリーチャーを安全な場所に移動させる)
条件a6 領地を守る(スペルによる補助) 【バインドミスト】などを使う

必要条件B:レベルアップ(魔力の獲得)

条件 条件を満たすための行動 条件を崩すための干渉例
条件b1 周回する 【マジカルリープ】を破壊する
条件b2 魔力を得られるカードを使う そのカードを破壊する
条件b3 資産の売却(ランドトランスまたは属性石の売却) 【ランドトランス】を破壊する
条件b4 相手の高額領地を奪う 武器アイテムを破壊する
条件b5 通行料を奪う 【ピース】をかける
条件b6 【シルバープロウ】・密命カードなど そのカードを破壊する

4 干渉の注意点

非効率な干渉

 【アステロイド】のようなレベルダウンスペルは、見かけ上は総魔力を1000G以上も減らす効果があります。しかし、レベル5をレベル4にしたということは、土地をレベルアップする魔力で言えば、640Gを減らしたに過ぎません。
 これをカード2枚と100Gとスペルターン1回を使って行うことを意味します。この行動は自分に利するような行為と言えるでしょうか?実は次のような計算式で求めることができます。

収支=与えた損害÷敵プレイヤー数-支出+収入

113=640÷3-100+0

 1人にだけ使っては、他の2人が有利になるので、3人にそれぞれ打つこととする(合成はできない)
 3人に打つと、カード6枚と300Gとスペルターン3回を使うことになる
 魔力換算だけで言えば、自分だけ340Gの差を付けられたようにも見える
 (自分は-300G、他の3人は-640G)
 しかし、スペル1回あたりで言えば113Gであり、【マナ】程度の収支しかプラスになっていない


 このように、一見すると強力なカードだからと言って闇雲に使っても、自分の利益に直結しない場合があります。なお、レベル4の場合は以下のとおりです。通行料の支払いなどを考慮しなければ、打つだけ無駄と言っていい水準です。

320÷3-100+0=6

干渉にかかるコスト

 もちろん、【アステロイド】は強力なカードであり、上手く使えば試合展開をコントロールできます。例えば、【アステロイド】を手札に抱えることで、レベル5は容易に作られず、ランドトランス戦術は機能不全に陥るでしょう。試合は長引き、侵略能力や高額通行料を奪えるブックが力を発揮するようになります。
 一方で、【アステロイド】をブックに入れ、手札に抱えることは、そこに他の要素を振り向けることを捨てています。使わないまでも(使ったとしても)相応のコストを支払うことになるのは、注意しなければいけない点です。
 また、【アステロイド】などのスペルは【セフト】で奪われるリスクを常に持っています。【セフト】で奪われたとしても、自分に使われるとは限りませんが、その判断を相手に委ねることになってしまいます。長時間、手札に抱え続けるのは危険です。

他者との利害関係

 また、あなたが【アステロイド】を提示することで、他者もその状況を利用することができます。
 他のプレイヤーのブックが侵略能力が高めの場合は、【アステロイド】があることで試合時間が延びて、そのブックを利する行為となります。他のプレイヤーを追い落とし、自分に有利な状況を作り出すために、第三者と協力することは、選択肢の一つです。しかし、いつかは協力関係にある相手をも出し抜いて、自分が勝ち切るための選択をしなければなりません。

 反対に、干渉を向けるつもりのない他のプレイヤーが、あなたの干渉を拒否する場合もあります。
 例えば、あなたが【ティアマト】と【バインドミスト】、【チェーンソー】を手札に保持し、1位のプレイヤーの高額拠点を陥落させようとした時に、これを歓迎しない第三者が【シャッター】で【バインドミスト】を破壊する、などという場合です。自分が狙った通りの干渉が機能する保証はどこにもないのです。

 こうした一連の注意点を踏まえて、干渉が有効に機能しているかどうかは、よくよく観察する必要があります。

干渉とダウン状態

 クリーチャーがダウンすることで、レベルアップや横移動・秘術ができなくなります。横移動ができないということは、相手領地への睨みを利かせている侵略能力の高いクリーチャーが持っている「行使しない干渉」が、一時的に効果を失うことを意味します。
 また、他人からの干渉(ネガ呪い・削り侵略)に対するケアを一時的に失うことにも繋がります。
 逆に、ダウン状態からの解除はこれとは逆の効果があり、干渉の効果が現れ、相手からの干渉を捌くこともできるようになります。ダウン解除そのものは資産を増大させませんが、資産の増幅や干渉に直結している大切なリソースです。個人的には、ドロースペルと似たような、汎用性の高いリソースだと思っています。

 プレイングとしてありがちな失敗は、「干渉できるから干渉する」というものが挙げられます。しかし、干渉はそもそも自分のブックやプレイングに負担をかけるものなので、勝利に貢献するとは限りません。
 もちろん、勝敗が決してしまいそうな場面では、それでもせざるを得ません。 しかし、4人対戦では積極的に干渉しても、効果は薄いというのはこの項を通してご理解いただけたのではないでしょうか。