目標魔力を達成するためには、いくつかの方法があります。カルドセプトは複数の資産が「総魔力」という一つの資産に数値化されて集約されるので、理論上の目標魔力の達成手段は無数にあります。
しかし、最も効率的なのは連鎖を組んでレベルを上げることです。そのため、「連鎖を組んで」「レベルを上げる」という必要条件を満たせば、目標魔力を達成できるとも考えられます。そして、この条件を満たすための土地と魔力はマップから生まれるものです。マップによって、土地と魔力の量は異なり、自ずと有効な戦術は変わります。
本項では、目標魔力達成の条件と、それを成り立たせる資源(リソース)を明らかにし、資産形成の概念を説明します。資産形成の概念は、カルドセプトをより深く理解するための一助となるでしょう。
カルドセプトに限らずに、ゲームには資源(リソース)という概念があります。リソースは、プレイヤーが管理し、交換することでゲームを進めていくものです。カルドセプトでは魔力やカードが資源としては理解しやすいものですが、実際には次のようなものが挙げられます。ちなみに資産(property:所有物)と資源(resource:財源)が表記上では混同しやすいので注意してください。
場合によっては「破壊されたクリーチャーの数」「配置しているクリーチャーの数」なども含まれます。総魔力資源は分かりやすいリソースですが、機会資源は、イメージしにくいかも知れません。例えば「20ラウンドで試合が終わるなら、20回しかスペルとクリーチャーを行使できない」ということです。こういった評価する基準となる単位を明確にすることで、正確な損得の計算ができるようになります。魔力のみに注目して、カード枚数には注目しない、というのはおかしな話です。
カルドセプトでは管理できる資源の数が多いのですが、真に管理すべき資源が何かを見極めることが、上達への第一歩です。また、誰も気が付かない資源にいち早く着目し、そこでアドバンテージを取って勝てるようになれば、それは全く新しい戦術となります。話が横に逸れましたが、そのくらいゲームを左右する部分であると考えて下さい。
マップに資産を築くことがカルドセプトの目標です。そのためには、連鎖とレベルアップが必要です。さらには、連鎖を作るためには土地が必要であり、レベルを上げるためには魔力が必要です。
実は、土地も魔力もマップから生じるリソースです。そして、マップによって土地と魔力の供給量は違います。広いマップか狭いマップか、魔力収入を得やすいマップか得にくいマップか。マップによって条件の満たしやすさが異なります。
リソースの供給量の違いは有効な資産の伸ばし方の違いであり、すなわち戦術(ブック)の違い、ゲーム展開の違いへと繋がっていきます。
「連鎖を組んで」「レベルを上げる」という2つの必要条件を満たせば、目標魔力を達成できます。必要条件を満たすか否かは、マップから供給されるリソースに由来することから、究極的にはマップに依存します。
これらの必要条件を「必要条件A:連鎖の形成」と「必要条件B:レベルアップ(魔力の獲得)」に整理すると、以下のようになります。
必要条件A「連鎖の形成」はそれを構成する条件a1~6からなります。
a1~6は試合の展開に沿って一定の順序で進むことから、条件を整えるのに時間がかかるのが特徴です。
必要条件B「レベルアップ(魔力の獲得)」はそれを構成する条件b1~6からなります。
いずれも独立したアクションであり、同時並行で行われるのが特徴です。
目標魔力8000Gの各達成モデルに必要な連鎖と魔力は以下のとおりです。
達成モデル | 必要条件A | 必要条件B |
555 | 3連鎖 | 3600G |
5541 | 4連鎖 | 2960G |
55111 | 5連鎖 | 2400G |
多くのマップでは5541か55111を目指すことになりますが、魔力さえ手に入れば3連鎖でも勝負はできます(属性石の利用)。自分が目標魔力を達成するためには、必要条件AとBの組み合わせをどうやって満たすかがポイントとなります。当初、思い描いていたプランとは異なるものであっても、試合展開に応じて臨機応変に修正できる柔軟なプレイングが理想です。
例えば、ランドトランス戦術を目指すブックであったとしても、必ずスペル【ランドトランス】を行使しなければ勝てない、という道理はありません。たった3連鎖でも通行料を奪うなどして勝利を目指すのは、誰もが自ずとやっているプレイではないでしょうか。
同様に、相手の高額領地を奪うブックや【クイックサンド】で通行料を奪うブックであったとしても、潤沢に土地や魔力が得られているなら、それに拘泥する必要はありません。普通にレベルを上げて達成を目指しましょう。
端的に表現してしまえば、連鎖(倍率)と魔力を掛け合わせたものが資産です。細かいカードのやり取りに目を奪われがちですが、ゲームを抽象的に理解できるかどうかは、プレイングに大きな影響を与えます。あまり難しく考えずに、次のことだけ覚えてください。
以上のことから、マップのリソースの供給量を踏まえて、ブックを構築する必要があります。例えば、次のような方針が考えられます。
1の例としては、広いマップでランドトランス戦術を採用する場合に、その起点となるレベル4・5を早期に造成するための魔力収入手段として、【マナ】などの収入スペルを多めに採用するブックなどが考えられます。
2の例としては、広いマップでランドトランス戦術を採用する場合に、領地売却に必要な6個以上の土地を確保して、周回ボーナスの増加やレベル3からの天然ラントラで魔力を得るブックなどが考えられます。
3の例としては、狭いマップで十分に土地を確保できるように、大量のクリーチャーやアイテムカードに加えて、【シャイニングガイザー】などのスペルを入れるブックが考えられます。
一方で、プレイングの指針としては、連鎖(倍率)と魔力を掛け合わせたものが資産であり、現時点で足りないものを補うように動くのが、効率的な一手となります。
例えば、土地が6個あるのに、7個目、8個目の土地を確保するためにクリーチャーを配置して魔力を減らすよりは、魔力を温存してレベルアップに振り向けた方が、目標魔力には近づきます。
いずれも必要条件Bを構成するものですが、他とは大きく異なる特徴があります。
ランドトランス戦術は必要条件A「連鎖の形成」を満たすことで、自ずと必要条件B「レベルアップ(魔力の獲得)」も満たすことに繋がります。
通行料は必要条件B「レベルアップ(魔力の獲得)」を満たすことで、さらに必要条件Bを伸ばすことに繋がるのです。
目標を達成するのではなく、相手の目標達成を止めようと考えた時に、マップにおいて潤沢に供給されるリソースを叩く意味は小さいです。例えば、広いマップで相手のレベル1領地を侵略等で潰しても、どうせまた土地を取られるだけであり、目標達成を止めることには結びつきません。
「連鎖×魔力=資産」なので、小さい方のリソースに干渉するのが、効率的な干渉です。
なお、土地なしの土地を叩いたり、魔力なしの魔力を叩くのは、相手に致命的なダメージを与えることになります。誰もが資産を伸ばしきれていない序盤ならともかく、中盤以降に出遅れた相手をさらに追い落とすことで、ゲームの主導権争いから除外することができます。(俗に「殺しのカルド」とも言われます)
「土地なしの土地を叩く」例として、A(自分)、B、Cの3人が土地を5個、D1人が土地を3個所有している状態を考えます。ここで、Dが土地を落とされたら、挽回するのには相当のラウンド数を要するでしょう。
一方で、A(自分)がB、Cとの競争に勝てるかどうかは未知数であり、BやCへのけん制のためには、Dに頑張ってもらった方がA(自分)にとっては有利だったりします。
また、「魔力なしの魔力を叩ける」のは【ランドドレイン】や【オブリタレート】の特権であり、これらのスペルをもらってはいけないタイミングが厳然と存在します。
いずれの事例も一見すると複雑ですが、必要条件A「連鎖の形成」とB「レベルアップ」という観点から考えると、比較的シンプルにその強弱や妥当性を判断できます。
決して総魔力や順位のみで判断することはしないようにしましょう。相手がどの程度、必要条件A「連鎖の形成」とB「レベルアップ」を満たしているかが重要なのです。
試合中に判断に迷った場合は「連鎖×魔力=資産」を思い出してください。ひょっとしたら、何か良い手が浮かんでくるかも知れません。