永川玲二の 本・著作

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●著書「アンダルシーア風土記」 new
●連載「アンダルシーア風土記」
●訳書 J.ジョイス「ユリシーズ」丸谷才一、高松雄一共訳、集英社
●著書「ことばの政治学」
●訳書 E.ブロンテ「嵐が丘」集英社文庫
●掲載/座談会=永川玲二 ダグラス・ラミス 加地永都子 室 謙二
●掲載/座談会=永川玲二 中上健次 渡辺一民
●掲載「スペインで聞いた"ヤッキイモー"の声」
●訳書「土曜の夜と日曜の朝」アラン・シリトー
●訳書「ナイルとニジェールの間に」 A・J・トインビー
●掲載 小説「夢のあと」
 著書「アンダルシーア風土記」永川玲二  <黄金郷タルテソスから大航海時代まで>

 ●3000年以上におよぶイベリア半島史の流れのなかで、
                    アンダルシーアはつねに文化的先進地帯だった・・・。

 長年セビージャに住み、アンダルシーア地方をくまなく歩き、自然や人びと、芸術、文化、遺跡などに深く親しんだ著者が、陰影に富んだ歴史と、色彩豊かな文化をくっきりと描き出す。

ヨーロッパ西部で最初に文明化したグァダルキビール川周辺に視座をすえ、世界史を見直す。

 古代フェニキア人が果たした黄金郷タルテソスへの地中海航路開拓、そしてコロンブスらの新大陸発見への新航路開拓・・・世界史の流れをすっかり変えるこの二つの新航路の発見において、グァダルキビール川のデルタ地帯は、前者にとっては目的地、後者にとっては再出発の足場としての役割を果たした。はるか後世の目で大局的に眺めると、あれはエジプトからレバノンへ、レバノンからアンダルシーアへ、アンダルシーアからアメリカへという地中海文化の三段跳びのいわばステップとジャンプだった。(本文より)

岩波書店 1999年7月27日 第1刷発行 \2600)


   月刊誌「世界」連載「アンダルシーア風土記」

 ●第十八回 / 女王イサベル
 一九七四年、波乱の末にカスティージャ王国女王イサベルが誕生する。それは追ってアラゴン王国となる夫フェルナンドと共にスペイン国家を成立、統治へとつながる一歩だった。

(岩波書店 1998年2月1日発行 \760)

 ●第十七回 / 晩鐘のあと
 一四一五年、アラゴンの全盛時代を過ぎたころ、ポルトガルはイスラム勢力の要港セウタを占領する。一五世紀も半ばになって、カスティージャとポルトガルはつかの間の平和を迎えた。

(岩波書店 1998年1月1日発行 \780)

 ●第十六回 / サンタ・クルース(聖なる十字架)
 イベリア半島とユダヤ人の関係は深い。一三九一年、カスティージャ王のポルトガル合併の失敗に端を発して起きたユダヤ人大虐殺の波は、四方八方へと広がってゆく。

(岩波書店 1997年12月1日発行 \760)

 ●第十五回 / 海に生きる
 一二九一年、イスラム軍によって東方との通商路を断たれ、海峡付近は一気に勢力争いの焦点となる。五十年後、アルフォンソ十一世は、ジブラルタル確保を目前にするが・・・。

(岩波書店 1997年11月1日発行 \760)

 ●第十四回 / 黒海から太平洋まで
 西洋史上、空前絶後の大空位時代、アルフォンソ十世はローマ皇帝をつとめた。
彼のその画期的な言語政策は、今日のスペイン語・ポルトガル語圏の広がりの基礎となった。

(岩波書店 1997年10月1日発行 \760)

 著書「ことばの政治学」

 ”お国自慢”のクニと”お国の為に”のクニはどう違う?・・・スペイン、ロシア、ベルギー・・・言語問題が民族の自由を求めて噴出する二十世紀末のいま、小国や少数民族が言語を含めて共存してゆくために何が必要なのだろうか。新しいことばの世界に読者を誘う異色の哲学者の対話集。解説 中野孝次。

(岩波書店 同時代ライブラリー 218 1995年3月15日第1刷発行 \1200)

 掲載「スペインで聞いた"ヤッキイモー"屋の声」 夢うつつ わが家にいる錯覚

 ◇売り声◇ セビリアに住みついてから二年目の春だったろうか。ある朝ぼくは夢うつつに、自分がいま広島市大手町にいると感じながら目をさました。 どうも勝手がちがう。あの古ぼけた杉天井も、砂壁もふすまも障子もない。まわりじゅう冷え冷えとした白一色の漆喰だけ。隣近所の子供たちはどうやらスペイン語で叫んでいる。そうか、ここはセビリアのアパートだったかと納得して、もういちど眠ろうとしたとき、とおくの方で甲高い呼び売りの声がひびいた。「ヤッキイモー」・・・(中略)・・・今年もそろそろサンフェルミンの闘牛祭ががせまってきた。早く東京での雑用をすませて、もういちどぼくはあのやかましいアパートに帰ろうと思っている。(イギリス文学者)

(読売新聞夕刊 コラム「文化」1973年6月頃?)

 訳書「土曜の夜と日曜の朝」アラン・シリトー

 「人生は厳しい、へこたれるもんか」・・自動車工場の若い工員アーサーは、父親から上司、政治家に至るまで権力と名がつく物<が大嫌い。浴びるように酒を飲み、人妻を誘惑し、気に入らないヤツに喧嘩を売る日々を送っている・・。悪漢物語(ピカレスク)の形式を借りて労働者の青春を生き生きと描き、第二次大戦後のイギリス文学界にショックを与えたシリトーのデビュー作。 

この作品は1968年12月河出書房新社より刊行された。(新潮社 新潮文庫 1979年12月25日第1刷発行 \480)

 訳書「ナイルとニジェールの間に」 A・J・トインビー

 この本におさめた紀行文は、モロッコ、ナイジェリア、スーダン、エチオピア、アラブ連合共和国およびリビアをおとずれたときの印象記である。私たち夫婦は上記のアフリカ諸国をはじめて直接に知ることができた。この本でとりあげた問題は<ネグロ主義>と<アラブ主義>と、ふたつの主張の対立である。これはおそらく将来の世界情勢のなかで大きな役割をはたす問題であろう。(序文から)

(新潮社 新潮選書 1967年8月30日第1刷発行 \700)

 掲載 小説「夢のあと」

 「東南に東京タワー、西には富士。その両方を見晴らすんだから超一流の住宅地ですよ」と新井君はまじめな表情で言った。・・・(中略)・・・「あたるわよ、きっと。陽子はね、おじさまのことになるといつもこうなの。むきになって、あたしをやりこめたりして。康夫さんも用心しないと、だれが陽子の旦那さんだかわからなくなっても、あたしは知らないわよ。」 (次号完結)

 

同人誌「秩序」#11 '63 summer 目次
 <詩> 投げられて:相沢啓三 夜についての試論:入沢康夫 <批評> 出られないドア:若林 真 廃虚の文学:清水 徹 <小説> 夢のあと:永川玲二 ある埋葬:三輪秀彦 <資料> 詩集「藍色の蟇」をめぐって(1) -「蟇」の歴史-:橋本一明 <手帖> 道に迷う:丸谷才一 <書評>  安部好雄・蒲池歓一・菅野明正:オーデン「怒れる海」、中国詩人選集「呉偉業」、野間宏「わが塔はここに立つ」、高橋和己「悲の器」、安部公房「砂の器」、三島由紀夫「美しい星」

(思潮社 文学グループ秩序 1963年7月1日発行 \100)

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