夜。
俺は部屋のベットに倒れるように横になる。
けっきょく、一つももらえなかった。
いいんだよ。あんなの製菓会社の陰謀じゃないか。踊らされる連中が馬鹿なんだよ。
……
……
うう、慰めにもならない。
バレンタインデーっていうのは、逆に考えれば、モテない事の証明に他ならないじゃんかよ。
くぅ〜、最悪。
プルルルルル…
携帯の呼び出し音が鳴る。俺はめんどくさいと思いながらも通話ボタンを押した。
「あ〜、もしもし …なんだ夏帆か。 …今からか? 別にいいけど。 …分かった。すぐ出る」
俺は夏帆から近所の公園に呼び出しを受けた。
急いでコートを羽織り、玄関を出る。
もしかしたら夏帆も誰かから、俺にチョコ渡すように頼まれたのかもしれない。
少し…いや、かなり期待して俺は公園へ走る。