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 第4話/Sweet Valentine's Day (3)

 

 
「…吉田先輩に渡してください」
「へ?」

 ガクンッと肩を落とす俺。

「自分で渡すのちょっと恥ずかしいから…あの…駄目でしょうか?」
「い、いや、わかったよ。吉田のヤツに渡せばいいんだな」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「ああ。まかせとけ」

 さやかちゃんはぺこりと頭をさげると。俺の前から走り去った。

 校内を探し回りなんとかクラスメイトの吉田を捕まえると、預かったチョコを渡す。
 うぅ…なんで俺がこんなに苦労しなきゃなんないんだよ。

「よぉっ! シケた面してんな。さてはまだ一つももらってないなお前」

 俺ががっくりと肩を落としてうなだれていると、友人の牧野が後ろから背中をたたいてきた。

「うるせーよ」
「心配するなって。俺も仲間だ。今年はぜんぜん駄目。義理すら一個ももらえなかった」
「おお! 同志よ!!」

 俺たちはお互いの肩をガッシッと組んで昇降口に向かった。


「あの…牧野君…」
「え?」

 昇降口で一人の女性徒が俺たちの前に現れた。名前は知らないけど、確か隣のクラスの女の子だったような気がする。けっこう可愛い。

「ちょっと、いいかな?」

 牧野にそう伺いつつ、ちらりと俺の顔を見る彼女。

 さいですか。俺はお邪魔って訳ね。

「あ…悪い、ちょっと俺、行ってくるわ」
「ああ、どうぞごゆっくり」

 気まずそうに俺に言う牧野。
 俺は、外見上こそ、平静は装っているものの、心の中で「裏切り者ー!!」と叫んでいた。

 うう、なんか学校にいると、どんどん惨めになってくる。
 今日はとっとと帰ろう。