「ひどいですよ。俺、優紀さんが俺に好意を持ってくれてるって喜んでいたのに…。俺、そんなことも知らずに、馬鹿みたいじゃないですか」
「だからね、最初はそう言う気持ちが少しあったっていうだけで…」
「やっぱ、俺みたいな子供、本気で相手にするわけないですよね。それなのに俺、一人で舞い上がっちゃって」
「だから…聞いて、まこと君」
「もういいです。俺、帰ります」
「まこと君…」
俺は立ち上がると優紀さんに目を合わせないようにして別荘を出た。
情けなく惨めな気持ちだった。
よく考えてみれば、昨日の夜、いきなり誘われた時点でおかしいと気付かなければいけなかったと思う。
あまりにも脈絡がなさすぎた。誘われる理由がなかったんだ。