■直美編■
5日目【7月25日】


 
 

 とりあえず浜辺へ。
 この子は何処を怪我してるかわからない。脳内で出血してたり、内蔵をやられてたりしたら下手に動かすのは非常に危険だ。

 そう判断した俺は子供をとりあえず浜辺で寝かすことにした。

 「ボウズ!返事しろ、大丈夫か?お〜い」

 だめだ反応がない。

 「宇佐美さ〜ん! その子、大丈夫です?!」
 「ぶつけた奴ははどうした?宇佐美君」

 センターの方から事故を知った恵理香ちゃんと沢田さんがやってきた。

 「恵理香ちゃん、救急車を呼んで!」
 「はい、わかりました!」
 「沢田さん! この辺に丈夫な棒は?」
 「ああ、ビーチバレーのネットにに使ってる太い竹の棒があるが…」
 「それだ! 二本とも大至急持ってきて下さい!!」
 「ああ」

 沢田さんは急いで近くにあるビーチボールのネット用の竹の棒を引っこ抜くと、こちらに持ってきた。

 「沢田さんその両端を持って…それじゃ、そのままシャツを脱がせますよ」
 「そうか! 簡易担架を作るのだな」
 「ご名答!」

 俺も竹の両端を持つと、沢田さんにシャツを脱がせてもらった。竹に裾を通した二着のシャツ。これで担架のできあがりだ。

 「宇佐美くん。そっとだぞ」
 「わかってます」

 俺は子供を担架に慎重に乗せると、シーサイドパークの管理センターへ運んだ。

 ……
 数時間後…。


 子供は意識を取り戻して大事にはいたらなかった。
 しかし、あと少し処置が遅かったら危なかったらしい。
 そして、ひき逃げ犯だが、直美さんが海上で追いつき近づいて蹴飛ばし、海に落として見事、捕まえたそうだ。