とりあえず浜辺へ。
この子は何処を怪我してるかわからない。脳内で出血してたり、内蔵をやられてたりしたら下手に動かすのは非常に危険だ。
そう判断した俺は子供をとりあえず浜辺で寝かすことにした。
「ボウズ!返事しろ、大丈夫か?お〜い」
だめだ反応がない。
「宇佐美さ〜ん! その子、大丈夫です?!」
「ぶつけた奴ははどうした?宇佐美君」
センターの方から事故を知った恵理香ちゃんと沢田さんがやってきた。
「恵理香ちゃん、救急車を呼んで!」
「はい、わかりました!」
「沢田さん! この辺に丈夫な棒は?」
「ああ、ビーチバレーのネットにに使ってる太い竹の棒があるが…」
「それだ! 二本とも大至急持ってきて下さい!!」
「ああ」
沢田さんは急いで近くにあるビーチボールのネット用の竹の棒を引っこ抜くと、こちらに持ってきた。
「沢田さんその両端を持って…それじゃ、そのままシャツを脱がせますよ」
「そうか! 簡易担架を作るのだな」
「ご名答!」
俺も竹の両端を持つと、沢田さんにシャツを脱がせてもらった。竹に裾を通した二着のシャツ。これで担架のできあがりだ。
「宇佐美くん。そっとだぞ」
「わかってます」
俺は子供を担架に慎重に乗せると、シーサイドパークの管理センターへ運んだ。
……
数時間後…。
子供は意識を取り戻して大事にはいたらなかった。
しかし、あと少し処置が遅かったら危なかったらしい。
そして、ひき逃げ犯だが、直美さんが海上で追いつき近づいて蹴飛ばし、海に落として見事、捕まえたそうだ。
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