「そうだなあ、俺はクラスの女の子達なんかより、直美さんのほうが気になるかな?」
「またぁ、そんな心にも思ってないことを言う」
直美さんは手をひらひらさせて、苦笑いをする。
「本当だって。俺、好きでもない女と二人だけでデート出来るほど器用な性格してないぜ」
「まあ、お世辞でも喜んでおきましょう」
「なんだよそれ」
「だって本気とは思えないよ。あたしなんて…」
「直美さん、俺、その直美さんの自己評価の低い所は感心できない。だって、直美さんって魅力的だと思うけどな。気さくだし、きちんと自分を持ってるし、活発的だし、その割には女の子っぽい所も持ってるし…美人だし……」
「美人って…私が?」
「そうさ。ショートカットっていうのはけっこう顔の善し悪しがシビアにわかるんだ。ロングだと誤魔化しが多少効くらしいからね。直美さんってショートで魅力的だから正真正銘の美人だよ」
「だって、私、美人なんて言われたことないし…」
「そりゃぁ、直美さんってボーイッシュだから、みんなそっちのイメージで直美さんを見ちゃうんだろうなきっと」
「……」
直美さん顔を真っ赤にして、悩んでるような嬉しいような複 雑な表情をして顔を背けてしまった。
でも、俺は嘘は言ってないぞ。
直美さんってもう二、三年もして落ち着いたらきっとすごい美人になるような気がする。
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