■直美編■
3日目【7月23日】


 
 
 「大丈夫さ。女は外見じゃないって」

 俺は落ち込んでいる直美さんにそう言って慰める。

 「なによそれ。なんだかその台詞って失礼じゃない? 遠回しに私が中身だけの不細工な女って言ってるように聞こえるわよ」
 「え? そういう意味で言ったんじゃ…」
 「確かに私は美人じゃないわよ。でもね、私だって女よ。面とむかって綺麗じゃないっていう風な事、言われれば傷つくわよ」
 
 直美さんは口を尖らせて、そう答える。

 「ごめん…俺の言い方が悪かった」
 「…まぁ、まこと君が私を慰めようとして言ったことはわかるけどさ。でもね、言葉って言うのは注意しないと、言い方によっては相手を傷つけてしまうこともあるのよ」

 あちゃぁ。失敗したなぁ。

 そうだよ。俺だってこういう状況で女性から「宇佐見君、顔は関係ないわ。男は中身よ、中身」って言われたらなんとなく傷つくかもな…。
 それって言い換えれば「君は顔が悪いから中身で勝負しなさい」って言われてるようだから、褒め言葉には聞こえないかもね。