◆7月22日<夜>◆
『星空を見上げて』
さてと、三日目も終わりだし、家でゆっくりするかぁ。
俺は自分の部屋で扇風機に当たりながら虫の声を聞いていた。
「こんばんは。まこと君いる?」
あれ? この声は直美さん?
「おや、直美。いるぞ、あがって」
と、姉貴の声。
トッ、トッ、トッ、トッ
階段を駆け上がる軽やかな足音が聞こえてくる。
「まこと君、星見に行こ! 星!」
「な、なんだよ、いきなり」
「ほら前に約束したじゃない?」
「したっけ?」
「そう。私と星を見に行くのが嫌のね?」
目を潤ませながらわざとらしく嘆く直美さん。
「わかった、わかった。つきあうよ」
「じゃぁ、博子さん、まこと君、借りていきまぁす!」
ケロっとした表情で直美さんは俺の腕をつかんで玄関に向かった。まったく強引だなぁ。
「直美、まこともこう見えて一応男だからね、襲われないように気を付けろよ」
おいおい、んな事するかぁ。
逆にこの強引さで俺の方が直美さんに襲われそうな気がするぞ。
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