「待てよ美鈴。直美さんは俺の連れだぜ。通してやってくれよ」
「なんでこんな女の味方をするのよ! もう、宇佐美も通してあげない!」
「相変わらずわがままな女だなぁ。私、本気で怒っちゃうよ」
直美さんが言葉とは裏腹に涼しい表情で美鈴に言う。
「ふん、私は昔とは違うからね。それにここにいるのは私の高校の強者ばかりよ、いくらあなたでも勝てないでしょうね」
「金でつられた犬どもか? ふっ、おもしれぇ…なんてね」
おいおい、こんな時に冗談いってる場合か?
「じゃあ、手始めにっと」
いきなり美鈴の懐につかみかかる直美さん。
「う、うわぁぁぁ!」
哀れ、美鈴は豪快に投げ飛ばされて、砂の上に転がる。
「貴様ぁ!!」
「はっ!」
見事、直美さんは取り巻き女の攻撃を受け流して転ばせた。
「いきなりとは卑怯よ! 思い知りなさい!!」
いつの間にか復活した美鈴が直美さんにつかみかかろうとする。
「よっと…遅い、遅い」
軽く受け流す直美さん。目標を失った美鈴は勢い余って止まれない。その背中を後ろから肘打ちする。あちゃぁ。美鈴、顔面から砂浜に…。
そして、数分後…
「なんだぁ、まことの学校って弱っちぃのばっかりだな」
なんて言いながら、両手を叩く直美さん。
直美さんが強すぎるんだよ…。
あ〜あ、一人で五人倒しちゃった。
「うそよ! こんなの嘘だわ! 元オリンピック選手にコーチしてもらった柔道とアメリカ仕込みの護身術が破れるなんて…」
「さぁてと、まこと君、帰ろうか?」
「…ああ」
あまりにも一方的に倒された美鈴達を少し哀れに思いながら、颯爽と立ち去る美鈴さんの後を追った。
直美さん本当に強いんじゃないか。彼女の祖父譲りの護身術って言うのは、伊達じゃなかたみたいだな。
小柄で華奢な身体で…凄すぎる。
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