■直美編■
2日目【7月22日】


 
 
 「待てよ美鈴。直美さんは俺の連れだぜ。通してやってくれよ」
 「なんでこんな女の味方をするのよ! もう、宇佐美も通してあげない!」
 「相変わらずわがままな女だなぁ。私、本気で怒っちゃうよ」

 直美さんが言葉とは裏腹に涼しい表情で美鈴に言う。

 「ふん、私は昔とは違うからね。それにここにいるのは私の高校の強者ばかりよ、いくらあなたでも勝てないでしょうね」
 「金でつられた犬どもか? ふっ、おもしれぇ…なんてね」

 おいおい、こんな時に冗談いってる場合か?

 「じゃあ、手始めにっと」

 いきなり美鈴の懐につかみかかる直美さん。

 「う、うわぁぁぁ!」

 哀れ、美鈴は豪快に投げ飛ばされて、砂の上に転がる。

 「貴様ぁ!!」
 「はっ!」

 見事、直美さんは取り巻き女の攻撃を受け流して転ばせた。

 「いきなりとは卑怯よ! 思い知りなさい!!」

 いつの間にか復活した美鈴が直美さんにつかみかかろうとする。

 「よっと…遅い、遅い」

 軽く受け流す直美さん。目標を失った美鈴は勢い余って止まれない。その背中を後ろから肘打ちする。あちゃぁ。美鈴、顔面から砂浜に…。


 そして、数分後…

 「なんだぁ、まことの学校って弱っちぃのばっかりだな」

 なんて言いながら、両手を叩く直美さん。
 直美さんが強すぎるんだよ…。
 あ〜あ、一人で五人倒しちゃった。

 「うそよ! こんなの嘘だわ! 元オリンピック選手にコーチしてもらった柔道とアメリカ仕込みの護身術が破れるなんて…」
 「さぁてと、まこと君、帰ろうか?」
 「…ああ」

 あまりにも一方的に倒された美鈴達を少し哀れに思いながら、颯爽と立ち去る美鈴さんの後を追った。

 直美さん本当に強いんじゃないか。彼女の祖父譲りの護身術って言うのは、伊達じゃなかたみたいだな。
 小柄で華奢な身体で…凄すぎる。