「お、俺は参加しないからね」
「まこと、なにをいじけてるんだ? 使いっ走りが嫌なら自分の努力でなんとかしな」
姉貴の魂胆はわかってるんだ。ここで俺に恥をかかせて笑おうっていうのに決まってる。
「姉貴は性格上絶対負けないし、康太郎さんは運動系強いし直美さんだって、身が軽そうだし俺に勝ち目ないじゃん」
「実際にやってみる前から決めつけてどうする。男ならわずかなチャンスに賭けてみな」
「とにかく俺は絶対に嫌だからね」
「まったく、しょうがない奴だな。じゃあ、まことがジュースを買ってこいよ」
姉貴は肩をすくめて、つまらなそうに俺に言った。
「わかったよ。行ってくればいいんだろ?」
「あ〜あ、直美ちゃんごめんな。こんなノリの悪い弟で」
「嫌なものはしょうがないかぁ。でも残念だなぁ」
勝手に言ってろ…。
俺は勝ち目のない戦いはしない主義なんだよ。
負けて惨めな想いするのはいやだかンな。
俺は心の中でそう愚痴りながら、ジュースを買いにビジターセンターへ行った。
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