■直美編■
1日目【7月21日】


 
 
 「お、俺は参加しないからね」
 「まこと、なにをいじけてるんだ? 使いっ走りが嫌なら自分の努力でなんとかしな」

 姉貴の魂胆はわかってるんだ。ここで俺に恥をかかせて笑おうっていうのに決まってる。

 「姉貴は性格上絶対負けないし、康太郎さんは運動系強いし直美さんだって、身が軽そうだし俺に勝ち目ないじゃん」
 「実際にやってみる前から決めつけてどうする。男ならわずかなチャンスに賭けてみな」
 「とにかく俺は絶対に嫌だからね」

 「まったく、しょうがない奴だな。じゃあ、まことがジュースを買ってこいよ」

 姉貴は肩をすくめて、つまらなそうに俺に言った。

 「わかったよ。行ってくればいいんだろ?」
 「あ〜あ、直美ちゃんごめんな。こんなノリの悪い弟で」
 「嫌なものはしょうがないかぁ。でも残念だなぁ」

 勝手に言ってろ…。
 俺は勝ち目のない戦いはしない主義なんだよ。
 負けて惨めな想いするのはいやだかンな。

 俺は心の中でそう愚痴りながら、ジュースを買いにビジターセンターへ行った。