■美和編■
4日目【7月24日】


 
 
「これはぁぁ!! 口の中にひろがるまったりとした味、適度な塩気といい、内部までむらなく熱がむらなく通っていて、こんがりとした焼き上がりといい、なんとも素晴らしい……」
「……」
「この酸味の効いた味のバランスは流石としか言えませんね」
「…卵焼きに酸味もないと思うんだけど」
「……」
「はいはい。なんかお約束よね。このパターン」
「な、何が…?」

 半分あきれた顔をした彼女に俺はとぼけてみせる。

「ううん、なんでもないわよ」

 あちゃぁ…少し怒っちゃったかな。いかんいかん、ちゃんと答えよう。