「じゃぁ、美鈴の総合運をいってみよう」
「あ、ええ。そうね」
<総合運占いでよろしいですか?>
<…それでは、あなたの氏名と誕生日、血液型を入力して下さい>
「えっと、アヤベミスズ、1月15日、AB型と…」
「それにしても、美鈴が占いねぇ? こういうの信じないタイプだと思ってた」
含み笑いをして俺は美鈴に言った。
<だだいまプリントアウトしております…>
「うるさいわね。私だって、時には、占いに頼ってみようって思う事だってあるわよ」
「不安でどうしようもない時って…おまえ、今、悩みでもあるのか?」
「いいじゃないそんなこと。いいから黙ってなさい」
機械のディスプレイに顔を向けたまま俺の背中をひっぱたく美鈴。
<終了いたしました>
「なに? どれどれ…」
美鈴が機械から占いの結果用紙を取ろうとする。それを俺は素早く奪い取った。
「あっ! ちょ、ちょっと勝手に読まないでよ」
「え〜と、あなたは他人から冷たい人間に見られています。他人とは距離を置いているようです。何事においても無関心の傾向がみられます。しかし、その冷静沈着ぶりを発揮して判断を誤らない特性をもっています。外見において孤独の人を演じても内面はすごく甘えん坊で人の温かさを求めています。素直に自分を表し、たまには他人をあてにすることを心がければ幸せを摘むことができるでしょう…ってよ」
「もう、声を出して読まないでよね、恥ずかしい…」
美鈴は頬を膨らませて俺の手から結果用紙を取り上げた。
「内面は甘えん坊ねぇ…」
「な、なによっ! 悪い!」
悪くはないけどね。
でも、この占いは当たってるな。美鈴って無理に意地悪で冷たい人間を演じている気がする。
そんなつまらない意地を張っていることに美鈴自身は気付いているのだろうか?