「みんな美鈴の美しさに注目してるんだよきっと」
「ほほほほ! ま、当然ね。私は浜辺のビーナスってところかしら?」
「…ナスビーの間違いじゃないか?」
「なんか言った?」
「いいえ、何にも」
美鈴は不満げに俺を睨んでいる。
「宇佐見はなんにも思わないわけ? 私の水着姿見ても。せっかく悩んで選んで着てきたのに。…誰のために悩んだと思ってるのよ」
「誰の為なんだ?」
「あ、…あのねぇ、わ、私が言いたいのはっ」
急に顔を真っ赤にして声を荒げる美鈴。
「心配するなって。そういう水着、美鈴が着てこそバッチリ決まるじゃん。凄く魅力的だよ」
「そ、そう。魅力的…よかった」
「なんだよ? そんなに自信なかったのか、あの美鈴お嬢様が?」
「自信はあったわよ。…でも馬鹿男に褒めてもらえる自信はなかったから…ありがと……」
ありゃ、今日の美鈴、本当に変だぞ。
あの美鈴が「ありがと」だって…。
確かにぶっきらぼうではあるけど、はっきり俺に言ったよな?