■美鈴編■
3日目【7月23日】


 
 
「さすがに美鈴の父親は凄いな。一代で富を築いた事だけはある。なんか雰囲気から違うよな」
「うるさいわね、そんなの知らないわよ」

 あからさまに不機嫌そうな言い方で美鈴は答える。

「美鈴、せっかくの機会なんだからもっと楽しまないか?」
「もういいから、私、一人になりたいの」
「ふう、そんなに俺のこと嫌いか」

 思わずちょっと怒った口調で美鈴に言う。彼女の方もそれを聞いて腹を立てた。

「大嫌いよ! 昔から知ってるでしょそんなこと」
「そうだな。俺達腐れ縁で知り合いなだけで、お互いに嫌っているんだものな」
「そうよ! いる必要のない時にまで一緒にいる必要ないでしょ」
「……」

 美鈴…いくらなんでも、そんな言い方は寂しすぎるんじゃないか?
 俺はいつだって美鈴を本気で嫌ったことはなかったぞ。

 俺は腹立たしさを覚えながら、室内に戻った。