「さすがに美鈴の父親は凄いな。一代で富を築いた事だけはある。なんか雰囲気から違うよな」
「うるさいわね、そんなの知らないわよ」
あからさまに不機嫌そうな言い方で美鈴は答える。
「美鈴、せっかくの機会なんだからもっと楽しまないか?」
「もういいから、私、一人になりたいの」
「ふう、そんなに俺のこと嫌いか」
思わずちょっと怒った口調で美鈴に言う。彼女の方もそれを聞いて腹を立てた。
「大嫌いよ! 昔から知ってるでしょそんなこと」
「そうだな。俺達腐れ縁で知り合いなだけで、お互いに嫌っているんだものな」
「そうよ! いる必要のない時にまで一緒にいる必要ないでしょ」
「……」
美鈴…いくらなんでも、そんな言い方は寂しすぎるんじゃないか?
俺はいつだって美鈴を本気で嫌ったことはなかったぞ。
俺は腹立たしさを覚えながら、室内に戻った。