■美鈴編■
3日目【7月23日】


 
 
「……」
「ねぇ馬鹿男! 聞いてるの!?」
「だから?」
「だからって…あのね、婚約者だって思っているのは向こうだけで、あたしは認めてないんだからね。親が勝手に決めたんだから」
「…そんな事、俺には関係ないだろ」

 俺はなんだか無性に腹が立って冷たく言い放った。

「そ、そうね。…別にあんたに誤解されても困らないものね。わざわざ戻ってきた私が馬鹿だったわ」
「……」

 肩を落としてそう言うと、美鈴はさっきの男の元へ帰って行った。
 なんだよ美鈴の奴、訳のわかんない奴だな。