「ははは、美鈴もさすがにお嬢様だな。あんなハンサムでボンボンの婚約者がいるなんてな。よかったじゃないか。お似合いだよ」
「だから違うって言っているでしょう？」
「照れる事ないだろう？　俺は、関係ないし全然気にしてないから…ははは」

　な、何言ってるんだろ俺。意外と混乱してるのか？　そんなつもりないんだけどなぁ。

「馬鹿男、動揺ありありじゃない。と・に・か・く、私はあんな奴、全然好きじゃないからね。お父様の顔を立てるために無理してつきあってるだけなんだから」
「美鈴、それって…」
「わかってるわよ。今は仕方ないけど、絶対、あんな奴と結婚なんてしないんだから！　誤解しないでよ。じゃあね」

　まぁ、お金持ちにはよくある事なんだろうけど、今時、結婚相手すら自由に選べないとは、嫌な世界だな。

　…あれ？

　でも何でわざわざ美鈴は俺に弁解をしに戻ってきたんだ？
　俺が誤解しようと関係ないだろうに。