■美鈴編■
2日目【7月22日】


 
 
「ったくなんだって言うんだよ」
「悪いようにはしないから、来なさいよ」

 そういって駐車場まで連れてこられる。そこには優紀さんがベンツの運転席に待機していた。

「深川! 帰るわよ」
「はい。…あの、お嬢様?」

 優紀さんは俺の方を見て眉をひそめる。

「コイツの事はいいんだって」

 ぜんぜんよくないぞ。
 そう言おうとした俺を美鈴はベンツの後部座席に押し込めた。そうして俺は美鈴に拉致されてしまったのだった。