くそ〜。ひどい目にあった。
あれから30分かけ歩いて姉貴の家に帰って来た。ずいぶん遅くなっちゃったなぁ。
もしかしたら、姉貴、怒ってるかも…。
「ただいま」
「ったく、遅くまで何処いってたんだ?」
姉貴が玄関まで出迎えに来る。
「ははは…」
俺は笑って誤魔化したが、姉貴はそれほど怒っていないようではあった。
「なにか面白い事でもあったのか? はは〜ん、さては浜辺でナンパして、女の子と仲良くなったとか?」
そんないいもんじゃないよ…と俺は心の中で答える。
「ああ、それで海では途中で帰ったのか?」
奥の部屋から康太郎義兄さんも出てきた。
「白状しなさい! それで私たちの行動も決まるのだからな」
嫌な笑い顔を浮かべる姉貴。ほうら! 俺が来る前から感じていた嫌な予感は当たりそうだぞ…。
「な、なんだよ、私たちの行動って?」
「まことが暇そうにしてたら、まだ行ってない新婚旅行に行くという事だったんだが…」
「げ! それって俺を留守番に?」
「この辺もちょっと物騒になってね。最近、空き巣とかが多いんだ。それにいろいろ連絡とか入るかもしれないし、まこと君が留守番してくれるなら安心していけるって話していてね…」
康太郎義兄さんが苦笑しながらそう言う。
「かぁぁ! やっぱり何かあるとは思ったんだ!!」
くっそう! こんな魂胆があったとは。留守番じゃ、家にいるのと変わらないじゃないか。せっかくこんなに遠出して来たのに。
「それで暇か?」
「ひ、暇なわけないだろ!!」
「ほう。じゃぁ忙しい理由を話してみろよ」
「昼間、クラスメイトの女の子と会ったんだ。ちょっと親しい女の子でいろいろ約束してるんだよ」
「ふむ〜。本当だろうな?」
意外そうに俺を見る姉貴。
嘘は言っていないぞ…。ちょっと違うけど…。
「仕方がないな。博子、また次の機会にしよう」
「しょうがない。そのかわり今夜は…ね」
げ!! 姉貴の奴、康太郎さんに色目使ってやがる。
「なに見てる! 失礼な奴だな、子供はとっとと寝る!」
「なんだよ…つきあっていられないぜ」
「覗くなよ」
誰が好き好んで実姉が男といちゃついている所を見たがるんだよ、まったく!
とっとと寝ちまおう。
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