Marine Blue Serenade
■7日目■
【 朝 / 昼 / 夕 / 夜 】
◆7月27日<朝>◆
『見送り』
とうとう帰る日がやって来た。
この街での一週間は実に思い出深いものだったなぁ。
まあ、とりあえず誘ってくれた姉貴に感謝するかな。
「姉貴、世話になったな。康太郎さんにもよろしく言ってくれ」
「ああ。気を付けてなまこと」
俺は姉貴の家を出た。振り返って瓦屋根を見上げる。
なんか名残惜しいな。一週間しかいなかったけどなんだか自分の家みたいな感じがしてしまってた。
「そういえば、まこと」
玄関の扉を閉めようとしていた俺に姉貴が呼びかける。俺は再び開けて姉貴の顔を見る。
「なんだよ」
「ほら例の娘、中学の時の後輩とは上手くいったのか」
姉貴はからかい口調で言った。
「さぁね。上手くいってるんじゃないのかな?」
「ほぅ、余裕だな。こんな駄目な男でも惚れる女っているもんなんだねぇ」
「ほっとけ!」
「なんにしろ、よかったな」
姉貴は俺にそう言う。
なんだよ、めずらしく素直じゃないか、姉貴。
「でも夏休みが開けたとたん、ふられちゃったよ〜なんて泣き言の電話なんてよこすなよ」
前言撤回。
ま〜ったく! むかつく姉貴だぜ。見送りの時くらい茶々入れないで話せないのかよ。
俺は姉貴を睨みながら扉を閉めると、とっとと玄関を離れた。
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