俺は真澄ちゃんを追いかけて、三本松海岸の方へ向かった。
姿を見失ってしまったが、まだこの辺りにいるはずだ。
周りは月明かりで、けっこう明るい。
ガードレールの下は1メートルほどの壁があって、ちょっとした岩場になっている。
俺は道路から岩場に降りた。
いた! 真澄ちゃんだ!
「真澄ちゃん!」
彼女はビクッ!とすると、俺の方を怖々振り向いた。そして俺と目が合うと、振り切るように逃げ出す。
ちょっと、なんで逃げるんだ!?
条件反射的に追いかける俺。
しかし、数十メートルも行くと岩場は無くなって海になってたはず…道の方へはコンクリートの壁が3メートルほどあって、とても登れるようなものではない。そこで追いつけるはずだ。
「!!」
行き止まりに追い込まれた事に気づいた真澄ちゃんは、俺と海面を交互に見る。
「どうして逃げるんだ真澄ちゃん」
俺は、なんとか彼女を落ち着かせようと説得してみる。
「あ、あたしの事は放っておいて下さい!!」
そう言うと、彼女は海に飛び込んだ。
…とはいえ、引き潮で水深は膝くらいまでしかないのだが…。
おいおい…なにもそこまでして逃げなくても…。
俺は少しためらったが、思い切って彼女に続く。
浅いとはいえ、走るのはかなり困難である。水しぶきに濡れながら、彼女の後を追う。彼女の方もかなり苦戦しているみたいで、気持ちに足がついていってない感じだ。
よし、これなら追いつける!
なんとか彼女の手をつかめると思った瞬間…
「きゃぁ!」
かわいい悲鳴と共に、真澄ちゃんは水に足をとられて転んでしまった。
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