■真澄編■
6日目【7月26日】


 
 
 俺は真澄ちゃんを追いかけて、三本松海岸の方へ向かった。
 姿を見失ってしまったが、まだこの辺りにいるはずだ。
 周りは月明かりで、けっこう明るい。

 ガードレールの下は1メートルほどの壁があって、ちょっとした岩場になっている。
 俺は道路から岩場に降りた。

 いた! 真澄ちゃんだ!

「真澄ちゃん!」

 彼女はビクッ!とすると、俺の方を怖々振り向いた。そして俺と目が合うと、振り切るように逃げ出す。

 ちょっと、なんで逃げるんだ!?

 条件反射的に追いかける俺。
 しかし、数十メートルも行くと岩場は無くなって海になってたはず…道の方へはコンクリートの壁が3メートルほどあって、とても登れるようなものではない。そこで追いつけるはずだ。

「!!」

 行き止まりに追い込まれた事に気づいた真澄ちゃんは、俺と海面を交互に見る。

「どうして逃げるんだ真澄ちゃん」

 俺は、なんとか彼女を落ち着かせようと説得してみる。

「あ、あたしの事は放っておいて下さい!!」

 そう言うと、彼女は海に飛び込んだ。
 …とはいえ、引き潮で水深は膝くらいまでしかないのだが…。

 おいおい…なにもそこまでして逃げなくても…。

 俺は少しためらったが、思い切って彼女に続く。
 浅いとはいえ、走るのはかなり困難である。水しぶきに濡れながら、彼女の後を追う。彼女の方もかなり苦戦しているみたいで、気持ちに足がついていってない感じだ。

 よし、これなら追いつける!

 なんとか彼女の手をつかめると思った瞬間…

「きゃぁ!」

 かわいい悲鳴と共に、真澄ちゃんは水に足をとられて転んでしまった。