「俺も真澄ちゃんの方が大切だよ」
「嘘。宇佐美先輩、さっき凄く楽しいそうだった」
「ほんとさ。小野寺さんだって真澄ちゃんを捜してる途中で出会ったんだぜ」
「じゃぁ、なんでそのまま探してくれなかったんですか?」
少し寂しそうに言う彼女。
「岸田先輩、強引だから困ってました。あたしはっきり断れなくて…」
「真澄ちゃん…」
「あたし自分が流されやすい人間だってわかってます。それがあたしの悪い所だっていうのも。先輩、あたし…あたし、先輩にあたしをしっかり押さえておいてもらいたいんです。身勝手な考え方だと思っていますけど…」
「……」
これってどういう意味にとればいいんだろう。真澄ちゃんまさか俺の事、本気で…。
思わず彼女の顔を見つめてしまった俺に、はっとなって目を反らす真澄ちゃん。
「あ、あたし、またわがままな事ばかり言ってますよね。ごめんなさい」
「真澄ちゃん、俺さ…」
「いいんです。私先輩が嘘つけるような人じゃない事知ってるはずなのに疑うなんて…ごめんなさい」
「いや、俺こそ悪かった。誤解されるような行動をして。ごめんな」
真澄ちゃんは小さく頷くと微笑んだ。