◆7月25日<昼>◆
『ビーチで』
「ほら、宇佐美君。じっとしてないで泳ぎに行こうよ」
俺はビーチチェアに腰掛けて肌を焼いていたのだが、小野寺さんが手を掴んで海へ誘う。
つないだ手をひどく意識してしまう。
うう、嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ち。
「うわぁ、冷たくて気持ちいい」
俺の手を引いたまま海の中へ駆け込む小野寺さん。
凄く楽しそうだ。
彼女の純粋なまでに自然な笑顔。
なんだか、小野寺さんって他の娘とちょっと違うんだよな。輝きが違うって感じがする。何をやるにしても心の底から楽しんでる。なんの曇りもない素直な表情が凄く魅力的なんだ。
「宇佐美君、もっと沖まで行こう」
そう言って俺をまた引っ張っていく彼女。
彼女との時間はとても楽しかったが、ちょっぴり罪悪感みたいなものを感じた。
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