◆7月24日<夜>◆
『弘と真澄ちゃんの関係』
昼間の事がどうしても気になる俺は、真澄ちゃんに会うために、彼女のいる叔父さんの家にやって来た。
少しためらいながらも、インターフォンを押す。出てきた由希子さん(来たのが彼女で良かった)に真澄ちゃんを呼んできてもらった。
とりあえず家の人の迷惑にならないように近くにあった児童公園に連れ出した。
「驚いたよ。真澄ちゃんと弘が知り合いだったなんて」
俺がそう切り出す。
「本当に岸田先輩からなんにも聞いてないんですか?」
「何にもって?」
「いえ、その…岸田先輩とは宇佐美先輩と関係ない部分で面識があって…あの、岸田先輩が宇佐美先輩の友達っていう事は知ってましたよ、はい」
なぜか妙に焦って言う真澄ちゃん。
「ちょっと、よく分かんないよ」
「え、え〜とですね。と、とにかくあたしも岸田先輩とは知り合いだったんです」
なにか言い難い事でもあるのだろうか? いまいちはっきりしない彼女の言動に、いろいろと予測を立ててみる。
「あ〜! もしかして岸田の奴に口説かれたとか?」
「え! いえ、まさか。あたしなんて声かけられるはずないじゃないですか」
「じゃぁ、どうして知り合ったんだ?」
「ぶ〜、先輩フォローなしですか」
真澄ちゃんが頬を膨らませて俺を睨む。
「そんな事言って誤魔化さないぜ。頼むよ教えてくれ」
彼女は凄く困ったようにしかめっ面になって上目遣いに俺を見た。
「どうしてそんなに気になるのですか?」
「そ、そりゃぁ真澄ちゃんの事だから」
「本当に聞きたいです?」
「ああ、聞きたい聞きたい」
「夜も眠れないくらい気になります?」
「気になる気になる」
「う〜ん、どうしようかな〜?」
「真澄ちゃん!」
少し強い口調で言った俺に真澄ちゃんは舌をだして頭を下げる。そして一呼吸おくと覚悟を決めたようで話し出した。
「実は恋愛の相談をしてもらってたんです」
「え? あいつにか?」
「はい。岸田先輩、恋愛に関しては右に出る者がいないほどの達人だそうで」
「そんなこと、誰が言ったんだ」
「…岸田先輩、本人」
「……」
うひ〜、弘に恋愛の相談なんて、恋愛観ゆがんでしまいそう。
でも、なるほど、だから言い難かったのか。
…ん? でもなんで真澄ちゃん不機嫌になったり、弘の奴、こそこそ逃げるような真似をしたんだ? これはなにかあるぞ。
「で? その後どうなったんだ?」
「え? その後ですか? けっきょく先輩のいい加減なアドバイスのお陰で上手く行かなくて終わってしまいましたけど」
「そうか。だからアイツ逃げるような真似したんだ」
「そ、そうです。そうです。今度会ったら文句いわなくちゃ」
拳を握って言う真澄ちゃん。
う〜ん、納得はいったけど、いまいち引っかかるんだよなあ。まあ、いいか。
俺はしばらく彼女と話した後、姉貴の家に帰った。
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