「ごめんなさい先輩」
本当に申し訳なさそうに謝る真澄ちゃん。
「謝る事ないさ。ご馳走してもらったんだ。これくらいやって当然だろ」
俺は真澄ちゃんとゴミをまとめたりコンロを洗ったりと、後かたづけを始めた。
「でも、なんだかこうやって二人で作業していると、昔の事を思い出しますね」
真澄ちゃんが少し嬉しそうに言う。
確かにな。
俺は彼女と物を作ったり、片づけたりした思い出が多い。体育祭の応援旗やパネルを作ったり、文化祭などの準備を手伝ったり、クラス委員の関係で生徒総会やクラスマッチなどの行事の準備、そして後かたづけと、なにかと一緒にやったものだ。
「先輩がいてくれて本当に助かりました。特に文化祭の時なんてあたしのクラスのまで手伝ってくれて」
「ああ。あれね。まぁ、俺達のクラスのは終わってたからさ。でも2、3人しかクラスの人間が残ってなかったのは酷いよな」
そうだった。真澄ちゃんのクラスは学校行事とかを嫌う奴が多くて彼女は大変だった。文化祭の時はクラス展示をやっていたのだが、みんな協力せず彼女を含めたほんの数人で準備をしていた。
たまたまそれを見つけた俺は、本当はいけないことだが少し手伝ったのだ。
「先輩はどうしてそんなに優しいのですか?」
「優しくなんてないよ。他の奴らが冷たいだけさ。あんな状態、普通なら放っておけないよ」
「でも、口では言っても実際にやってくれる人はあまりいません。やっぱり先輩って優しい人です」
「よせよ。おだててもなんにもでないよ。それよりも、とっとと片づけて早く遊びに行こうぜ」
「はい」
にこっと微笑むと真澄ちゃんは片づけに戻った。
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